アクセル操作時の異音別修理代一覧|加速時に「カラカラ」鳴るのは故障?
多くの方が、加速時に「カラカラ」や「ガラガラ」という異音を耳にしたことがあると思います。
これらの音はアクセル操作時に発生する異音の代表例です。
加速時に発生する異音の原因はエンジン周りの故障が真っ先に疑われますが、異音の原因はエンジン以外にあることも珍しくなく、なかには運転操作によって引き起こされている異音もあります。
今回は、アクセル操作時に鳴る異音の種類と修理費用を解説します。
異音の種類と原因箇所を知ることで、注意すべき異音と修理の必要がない異音の区別が付くようになります。
【修理代一覧】アクセルペダル操作時の異音11種類
アクセル操作時に発生しがちな異音は11種類あります。
以下の表は、それぞれの異音と異常箇所の修理箇所と修理費用をまとめたものです。
異音 | 異常箇所 | 修理項目・費用 |
「カラカラ」「カタカタ」 | エンジン | スパークプラグ2,000円前後(1気筒)エンジンオイル交換5,000円前後ラッシュアジャスター交換8万円〜(1台分)エンジン載せ替え20万円〜 |
「ジャラジャラ」 | タイミングチェーンチェーンテンショナー | タイミングチェーン交換10万〜20万円チェーンテンショナー交換1万円前後 |
「キュルキュル」 | ファンベルト | ファンベルト交換1万円前後(1本) |
「ヒューン」「 ウィーン」 | オルタネーターエアコンコンプレッサーアイドルプーリー | オルタネーター交換4万〜6万円エアコンコンプレッサー5万〜10万円ベアリング交換1万円〜アイドルプーリー交換1万5,000円前後(1箇所) |
「キンキン」「カンカン」 | ラジエーター | LLC(冷却水)補充1,000〜4,000円 |
「ガラガラ」 | ウォーターポンプ | ウォーターポンプ交換2万〜7万円 |
「バラバラ」「ドッドッドッ」 | マフラー | マフラー交換3万〜8万円溶接修理1万円 |
「ドン」 | マウント類 | エンジンマウント交換3万円〜(1台分) |
「ゴー」 | トランスミッションデファレンシャルギア | トランスミッション交換20万円〜デファレンシャルギア交換5万円〜 |
「ゴロゴロ」「ゴー」 | ハブベアリング | ハブベアリング交換1万円〜(1箇所) |
「キー」 | ディスクブレーキ | ブレーキパッド交換1万5,000〜2万円ブレーキ分解清掃5,000〜1万円(1箇所) |
これら異音の擬音表現はあくまで一例です。
とくにアクセル操作で生じる異音の発生源はエンジンだけにとどまらず、車体各部から似たような異音が発生することもあり、音だけで正確な異常箇所を特定するのは困難です。
その場合は、エンジン回転数に伴って音量や音色が変化する異音と、速度上昇に伴って変化する異音に分けて考えることで発生箇所を絞り込みやすくなります。
ここからは、エンジン回転数の変動に伴う8つの異音と、速度変化に伴う3つの異音についてをより詳しく解説していきます。
エンジン回転数の変動に伴う8つの異音と原因
エンジンの回転数に応じて変化する異音は、エンジンおよび補機類の異常と断定できます。
具体的な異音の発生箇所がわかりづらいときはニュートラルギアの状態での空ぶかしや、エンジンを稼働させたままボンネットを開けて異音を聞くことで、さらに正確な場所を特定しやすくなります。
「カラカラ」はスパークプラグの劣化や乗り方が原因
アクセル操作時の代表的な異音である「カラカラ」という音は、おもに以下の4つが原因です。
- ・エンジンオイルの異常
- ・スパークプラグの劣化
- ・低速ノック
- ・ディーゼルノック
エンジンオイルの異常によるタペット音
エンジン上部から「カラカラ」と鳴る場合はエンジンオイルの劣化もしくは指定粘度よりも柔らかいエンジンオイルを使用している可能性があります。
エンジンヘッド内部から発する「カラカラ」「カタカタ」「カチカチ」といった異音はカムがバルブを叩く「タペット音」であり、カムとバルブのクリアランス(間隔)が広い始動直後に異音が出るのは正常です。
しかし、エンジンが温まった状態でも異音がするようなら、エンジンオイルの不足や劣化によるオイル粘度の低下、エンジンごとに指定される粘度よりも低いエンジンオイルが使用されているなどの可能性が考えられます。
過走行気味車は、バルブクリアランスを自動調整するための「ラッシュアジャスター」の劣化も原因として疑われます。
スパークプラグの劣化や締付不良
スパークプラグの劣化や締付不良によっても「カラカラ」や「チリチリ」と異音がする場合があります。
スパークプラグは、エンジン内に取り込んだ空気とガソリンの混合気に点火するための重要な部品です。1〜2万kmごとの交換が推奨されており、スパークプラグが劣化すると適切な点火タイミングが確保できず異音だけでなく加速不良の原因にもなります。
スパークプラグは一般的な車の場合1気筒ごとに1本備わり、3気筒エンジンなら3本、4気筒エンジンは4本のスパークプラグをすべて同時に交換するのが基本です。
運転の仕方やパワーダウンが原因の低速ノック
高いギア比で低速走行中、アクセルを踏み込んだときに起こりやすいのが「低速ノック(カーノック)」と呼ばれる異音です。
走行速度に対してエンジン回転数が低いとエンジンの瞬間的な出力不足により、エンスト直前のような振動を伴って「カラカラ」や「カタカタ」と異音を発するのが低速ノックの特徴です。
速度に対して任意のギア比を選べるMT(マニュアル・トランスミッション)車で起こりやすいものの、アクセルを踏み込む前に適切なギアにシフトダウンすれば低速ノックは防止できます。
自動変速されるAT(オートマチックトランスミッション)車の場合は、スパークプラグの劣化やエアクリーナーの汚れなどによってエンジン出力がダウンすると変速制御が上手く噛み合わなくなり低速ノックを起こすことがあります。
加えて、MT・ATともに、低回転からアクセルペダルを一気に開いた場合も低速ノックが起きやすい状況です。アクセルペダルは回転数に応じて少しずつ踏み込むことでスムーズに加速させられます。
ディーゼルエンジンの「カラカラ」は正常
ディーゼルエンジンが稼働中に発する「カラカラ」という音は異常ではないため、気にする必要はありません。
スパークプラグを持たず、軽油を空気の圧縮熱で自己着火させるディーゼルエンジンは、常にガソリンエンジンでいう異常燃焼の状態にあるのが正常であり、どうしても「カラカラ」と音を伴う「ディーゼルノック」が発生します。
とくに、始動直後の冷えた状態は着火性能が極端に低下するため異音も発生しやすくなる傾向にあります。
「キンキン」「カンカン」などのノッキング音はオーバーヒートの可能性
エンジンから「キンキン」「カンカン」など異音がする場合はエンジンのオーバーヒートが疑われます。稼働中のエンジンが発するこれらの硬質な音は、「ノッキング」と呼ばれる異常燃焼時に発生する衝撃波が原因です。
オーバーヒート時はエンジンの内部が過熱状態にあるため、その熱でガソリンが勝手に着火してしまう「デトネーション」や「プレイグニッション」呼ばれる種類のノッキングが発生しやすくなります。
エンジン温度がさらに上昇するとエンジンの冷却が追いつかず、エンジン内部の焼き付きを起こし莫大な修理費用がかかってしまいます。
「キンキン」「カンカン」といった異音は故障前のエンジンが発する警告音と捉えましょう。
オーバーヒートに陥る原因の多くは冷却水不足や冷却機構の故障であるため、早急にラジエーター周りの点検と修理が必要です。
「ガラガラ」はウォーターポンプの寿命
エンジンの回転上昇に伴う「ガラガラ」という異音はウォーターポンプのベアリングの摩耗が原因である場合がほとんどです。
ウォーターポンプは、冷却水を循環させるためのポンプであり、ウォーターポンプが完全に故障すると冷却水を循環させられず、エンジンはオーバーヒートに陥ります。
多くの車はエンジンの動力を使ってウォーターポンプを駆動していますが、最新の車のなかには、モーターで駆動する電動ウォーターポンプが採用される例も増えています。
電動式ウォーターポンプは、エンジンの回転数と同期しないため異音箇所の特定がやや難しいものの、発生する異音はおおむね同じです。
異音の発生に加え、ウォーターポンプ取付箇所から冷却水の滲みや漏れがある場合にも、早急な交換が必要です。
「ジャラジャラ」はタイミングチェーンの伸び
エンジンから「ジャラジャラ」と異音がする場合はタイミングチェーンの伸びや、張り具合を適正に保つチェーンテンショナーの故障が疑われます。
タイミングチェーンは、エンジンの吸気動作と排気動作の要となるカムシャフトを駆動するための部品であり、ゴム製で異音が出にくい代わりに経年劣化で切れやすいタイミングベルトを強度に優れる金属チェーンで代替したものです。
走行距離30万kmまで交換不要とされるほど高い耐久性を誇るタイミングチェーンですが、エンジンオイル交換の怠りや、粗悪なエンジンオイルを使用することで摩耗して伸び、異音が発生しやすくなります。
エンジン始動直後に音が鳴るのは正常ですが、エンジンが温まった状態でも気になるほどの異音を発するのは明らかな異常です。
「キュルキュル」はファンベルトのヒビ割れや硬化
エンジンルームから「キュルキュル」と鳴る大きな音は、オルタネーター(発電機)やエアコンコンプレッサーなどの補機にエンジンの動力を伝達するためのファンベルトが原因です。
「ファンベルト」と呼ばれるのは、ベルトを用いてラジエーターファンを回していた時代の名残であり、電動ファンに置き換わった現在は「補機ベルト」がより正しい呼び名といえるでしょう。
ファンベルトが劣化すると伸びや摩耗、硬化やヒビ割れが発生して滑ることで「キュルキュル」と甲高い異音が発生するほか、冷却水やオイルなど異物が付着して音が鳴る場合もあります。
異音が出でもすぐに機械的な不具合は生じませんが、異音を放置するとベルトが切れる恐れがあります。
ベルトの張り具合を調整するだけで異音が出なくなる場合もあるため、さしあたりベルトの点検を実施しましょう。
「ヒューン」「ウィーン」はオルタネーターやエアコンコンプレッサーベアリングの摩耗
エンジン回転数に応じた「ヒューン」や「ウィーン」といったうなり音は、オルタネーターやエアコンコンプレッサーなどの軸受部分にあるベアリングの摩耗が疑われます。
エンジン稼働中、常に異音がするのならオルタネーターが発生源です。エアコン作動時にのみ鳴るならエアコンコンプレッサー、ハンドルを切ったときに鳴るのであればパワステポンプの異常と断定できます。
そのほか、各ベルトを取り回しに必要な「アイドルプーリー」や「テンショナー」と呼ばれる部品にも同じくベアリングが組み込まれるため、装置本体ではなくプーリーが異音の原因となっている場合もあります。
異音が発生した装置は丸ごと交換されるのが一般的ですが、ベアリング単体を交換することで修理費用を抑えることも可能です。
「バラバラ」「ドッドッドッ」はマフラーの腐食や破損
アクセルを踏み込んだ際に排気音が大きくなり、「バラバラ」「ドッドッドッ」のような発破音が鳴る場合はマフラーに空いた穴からの排気漏れが原因です。
マフラーは長年使用していると溶接の割れや腐食によって穴が開きます。その状態では保安基準に適合せず、車検に通らないばかりか整備不良で摘発される恐れがあるため早急に修理をしましょう。
費用を抑えたい場合はマフラーを交換するよりも、溶接によって穴を塞いでもらうことをおすすめします。
アクセルのオンオフで「ドン」と鳴るのはエンジンマウントの劣化
大きくアクセルを踏み込んだ際や、ペダルを離した際に異音が鳴るのは、マウント類の劣化が疑われます。
エンジンをはじめ、トランスミッションやデフなどの駆動部は、防振を目的としてゴム等の柔らかい素材で保持されており、各部のマウント部品が劣化するとエンジンや駆動系からの振動が車内に伝わりやすくなるうえ「カタカタ」「コトコト」といった異音も発生しがちです。
さらに劣化が進行すると、加減速時やATのシフトポジションを変更したときにエンジンやトランスミッションが大きく揺れて「ドン」と大きな音が鳴る場合もあります。
マウント類の寿命は走行距離10万km程度といわれるものの、車の使い方によっては早期に劣化します。
車種によっては劣化しやすい特定部位のマウントだけが異音の原因となっている場合もあるため、該当箇所だけを交換して費用を節約することも可能です。
速度変化に伴う3つの異音と原因
アクセル操作時に発生する異音は、エンジン以外に原因がある場合もあります。
速度変化に伴って音が変化する異音の発生箇所は、駆動系やタイヤ周りなど以下の3箇所の異常が代表的です。
- ・トランスミッションやデフ
- ・ハブベアリング
- ・ブレーキ
「ゴー」はトランスミッションやデフの故障
変速機であるトランスミッションが故障した場合は、振動を伴いながら「ゴー」や「ガリガリ」といった異音が発生しがちです。
ただし、金属ベルトを介して動力伝達するCVTは構造上「キーン」や「ウィーン」といった音が出やすく、よほど大きな音でなければこれは正常です。
左右輪に駆動力を分配するデファレンシャルギア(デフ)は、内部のギアが摩耗して隙間が過大になると「ゴー」や「ガー」といった異音に加え、加速や減速をした際に「ゴンッ」と鳴りやすくなります。
異音が出るようになったトランスミッションやデフは、分解整備もしくは交換する必要があり、いずれの場合も高額な修理費用がかかります。
「ゴロゴロ」「ゴー」はハブベアリングの寿命やグリス切れ
走行中にタイヤ周りから「ゴロゴロ」「ゴー」と異音がする場合はハブベアリング異常が疑われます。
ホイールの取付部分である「ハブ」に備わるベアリングであり、グリス切れや摩耗が進行すると異音が出るようになります。
ジャッキアップしてタイヤを揺すり、ガタつきがあるようであればハブベアリングの摩耗寿命といえるでしょう。
ハブベアリングの異音を放置するとタイヤホイールが走行中に外れる恐れがあるため、異音に気づいたら早めの交換が必要です。
「キー」はブレーキパッドの摩耗や引きずり
金属をこすりつけたような「キー」という異音は、ブレーキの異常が真っ先に考えられます。
多くの車の前輪に装備されるディスクブレーキは、摩擦材であるブレーキパッドと、ホイールと同期回転するブレーキローターがわずかに接触する構造であるため、ブレーキペダルを踏んでおらずとも異音を発する場合があります。
純正品をはじめとするブレーキパッドには、危険残量に達した際にあえて「キー」という警告音を鳴らす機構が組み込まれており、ブレーキ作動時はもちろん、作動していない状態でもひときわ大きな異音が鳴る場合は、早急なブレーキパッドの交換が必要です。
ブレーキ装置内部のピストンやスライドピンなどが固着した場合には、常にブレーキが効いた状態になる「引きずり」を起こし、異音の発生だけでなく燃費の悪化やブレーキの動作不良を引き起こします。
ブレーキが固着した場合は、分解洗浄で取り除くことが可能です。
アクセルの異音修理を安く済ませる3つの方法
アクセル操作時に発生する異音はエンジン周りや駆動部などの重要箇所の故障である場合が多く、修理には多額の費用がかかることも珍しくありません。
しかし、高額修理であるほど以下の3つの方法が効果を発揮します。
- ・リビルド品や中古部品を使って修理する
- ・複数の業者から見積もりを取る
- ・車を乗り換える
異音修理を安く済ませる3つの方法の詳細を解説します。
リビルド品や中古品の活用で部品代を抑える
エンジンやトランスミッション、オルタネーターやエアコンコンプレッサーなどの高額な部品交換が必要になった場合はリビルド品や中古品を使うことで部品代を大きく抑えられます。
リビルド品は中古部品を整備したパーツであり、価格は新品の半額程度に抑えられ、さらに保証が付く場合もあります。
未整備の中古部品は故障のリスクは高まるものの、リビルド品よりもさらに安い値段で購入できます。
メーカーディーラーの交換修理は新品部品での修理が多いため、費用を抑えたいなら中古部品やリビルド品を積極的に使う整備工場への修理依頼がおすすめです。
相見積もりで修理費用が安い業者に依頼する
複数の業者から見積もりを取り、もっとも安い業者に依頼する「相見積もり」が修理費用を抑えるのに有効です。
ディーラーと修理工場を比べると、使用部品のほか作業工賃の時間単価が大きく異なるため、修理費用には大きな価格差が発生します。
また、同じ整備工場同士を比べても規模や従業員の給与などによって作業工賃や部品の仕入れ値が異なるため、修理費用には小さくない差が生まれます。
複数の業者から見積もりを取るのは手間と時間がかかるものの、相見積もりをすることで高額な修理費用を確実に安くすることが可能です。
高額修理になりそうなら車を乗り換える
異音により高額な修理費用がかかるエンジンやトランスミッション本体の交換が必要になった場合は、修理ではなく乗り換えも検討しましょう。
エンジンやトランスミッションを載せ替えるには、本体と工賃を含めて最低でも20万円以上かかり、車種によっては新しく車が買えてしまうほどの修理費用がかかることも珍しくありません。
それに加え、異音の多くは経年劣化による部品の不具合が原因であるため、1箇所から異音が発生したということは、近いうちに別の箇所の修理も必要になる可能性が濃厚です。
長期的な視点で修理費用を抑えるなら、異音が出始めたタイミングで車を乗り換えた方がお得な場合があります。
年式や走行距離、次回車検時期に応じて修理して乗り続けるか、乗り換えるかの判断をするとよいでしょう。
まとめ
以上のように異音の音色から、ある程度の故障箇所が特定できます。
しかしアクセル操作に伴う異音は、エンジンだけでなく駆動系や車体全体に及ぶため、それだけ故障箇所の特定も難しくなります。
異音が聞こえたら、まず以下の3点をメモしておきましょう。
- ・どのような音だったのか
- ・どのような状況で鳴ったのか
- ・どの場所から聞こえてきたのか
修理依頼時は、この3点を担当する整備士に伝えることでスムーズな修理が可能になります。
車が発する異音は、異常を知らせる重要なバロメーターといえるでしょう。放置すると大きな故障につながる恐れがあるため、異音が聞こえたら早めの点検と修理をおすすめします。
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