ウォーターポンプからの異音は故障の前兆!修理費用はいくらかかる?
エンジンから聞こえる「ガラガラ」という音は、ウォーターポンプ故障時の代表的な異音です。
ウォーターポンプは冷却水を循環させるための重要部品であり、故障するとエンジンがオーバーヒートし多額の修理費用がかかってしまいます。
そこで今回はウォーターポンプに異常が起きた場合の症状と、交換する際の修理費用に加え、ウォーターポンプの交換費用を安く抑える方法を解説します。
ウォーターポンプが故障する前には前兆があるため、それにいち早く気づき、早期に交換することがオーバーヒートを防ぐコツです。
もくじ
ウォーターポンプの異音は故障の前触れとなる代表例
ウォーターポンプは、内部にある渦巻き型の羽根を高速回転させてクーラント(冷却水)を圧送する装置です。
ウォーターポンプの働きにより、発熱源であるエンジンと冷却装置であるラジエーター間を冷却水が循環することで、エンジンはオーバーヒートを起こすことなく一定温度で稼働し続けられます。
多くの車に用いられている機械式ウォーターポンプは、クランクプーリーと同じ面のエンジン本体に直接取り付けられ、常にベルトで高速回転しているため、内部のベアリングやシールが摩耗しやすい特徴があります。
ウォーターポンプが故障した場合に現れる顕著な症状は以下の3つです。
- ・ベアリングやシールからの異音
- ・冷却水の漏れ
- ・冷却水漏れで生じる臭い
これらの症状はモーターで駆動する電動式ウォーターポンプも同様であり、以上の症状が発生した場合は、故障の前兆と捉えてウォーターポンプの早期交換が必要です。
それぞれの症状をより具体的に解説していきます。
走行中に「カラカラ」「ガラガラ」「キュー」などの異音がする
ウォーターポンプのシャフトを保持するベアリングが摩耗してくると、「カラカラ」「ガラガラ」「ウィーン」などの音が出がちです。
ウォーターポンプが発する異音を放置すると、ベアリングの動きが悪くなり、ゆくゆくは固着してしまいポンプとしての機能を果たせなくなります。
「ガラガラ」などの異音のほかに「キュルキュル」「キュー」という音が鳴ることもあります。
ウォーターポンプから擦れるような甲高い音は、冷却水が漏れ出さないようにシャフト周りの隙間を塞いでいる「メカニカルシール」の劣化による異音であり、放置すると冷却水漏れが起こります。
冷却水の漏れ・滲みがある
ウォーターポンプには、冷却水でベアリングが濡れるのを防止するための水抜き穴が設けられているため、冷却水がわずかに漏れ出るのは正常です。
しかし、水抜き穴以外から冷却水が流れ出すように漏れる場合は、早急な修理が必要になります。
停車中の車体下に水たまりができるほど大量に漏れ出している場合は冷却水の不足が懸念されるため決してエンジンを始動させず、レッカーなどを利用して修理工場へ搬送しましょう。
少量の漏れの場合は、冷却水が乾いてしまうことで発見が遅れがちです。
冷却水は乾燥すると結晶化するため、白やピンクなどの粉や塊がウォーターポンプ付近に付着している場合も冷却水漏れが発生していることを意味します。
緊急性が低い少量の漏れは、冷却水量のチェックと併せて一定期間あたりの減少量を確認しておくとよいでしょう。
エンジンルームから甘い臭いがする
冷却水には砂糖菓子のような臭いがつけられており、大量に漏れ出すとエンジンルーム内はもちろん、車外や車内にまで特有の甘い臭いが漂ってくる場合があります。
なかでもタイミングベルトで駆動しているエンジンのウォーターポンプは本体がカバーで隠れてしまい、滲みや漏れに気付きづらい傾向にあるため、車から甘い匂いがしたら冷却水漏れを疑いましょう。
ウォーターポンプが故障するとオーバーヒートの恐れが
ウォーターポンプの異音や滲みや漏れを放置してべアリングの固着や冷却水不足などが起こると、エンジンが過熱状態になるオーバーヒートに陥ります。
オーバーヒートでエンジンが壊れるまでには3段階あり、その症状は以下のとおりです。
- 1.パワーダウンが感じられ、エンジンが止まりそうになる
- 2.冷却水が沸騰して大量の湯気が発生。エンジンが「キンキン」「カンカン」と異音を発しながら振動を伴うノッキングが起こる
- 3.エンジンの焼き付きや破損、場合によっては発火する
走行中に水温警告灯が点灯したり、水温計が中央より上がりはじめた場合はオーバーヒートが疑われます。
ベアリング固着や冷却水不足のほか、ウォーターポンプ内部のインペラ(羽根)が錆や水垢で腐食した場合にも、ポンプ性能が落ちたり圧送時に気泡が発生して冷却性能が低下し、オーバーヒートしやすくなります。
ウォーターポンプの交換費用は2万〜10万円
多くの車に用いられる機械式ウォーターポンプの交換費用は、着脱費用や冷却水の交換費用を含めて2万〜8万円程度です。
交換時にタイミングベルトの脱着が必要な古い車は作業工数が増えるため工賃が高くなりやすく、タイミングチェーンを採用している新しい車は、比較的楽に交換できるため工賃も安くなる傾向にあります。
またディーラーでの交換は高額になりやすいため、修理費用を抑えたいなら作業単価が安い整備工場に交換を依頼しましょう。軽自動車やコンパクトカーのウォーターポンプ交換を整備工場に依頼した場合の交換費用は3〜4万円が相場です。
一部の新型車に採用される電動ウォーターポンプは部品代が高価であるものの、ベルトの取り回しが不要であるため交換費用の総額は機械式ウォーターポンプと大差はありません。ただし、輸入車の場合は10万〜15万円ほどの費用がかかる場合があります。
ウォーターポンプの交換費用を抑える3つの方法
消耗品であるうえ高い信頼性が求められるウォーターポンプは新品交換が鉄則です。
部品価格を直接抑える方法はありませんが、条件次第では以下の3つ工夫で交換費用を抑えられます。
- ・タイミングベルトとの同時交換
- ・メーカー保証による無償交換
- ・工賃を浮かせられるDIY
それぞれの詳細を解説していきます。
タイミングベルトとの同時交換がお得
ウォーターポンプ交換時にタイミングベルトの着脱を伴う車は、同時にタイミングベルトも新品に交換することをおすすめします。
タイミングベルトの交換工賃は高めであるうえ、交換時期もウォーターポンプと重なるため、どちらかの交換と同時に両方を交換すれば合計の工賃を大きく削減できます。
耐用走行距離30万kmとされるタイミングチェーンを採用している車は、ウォーターポンプ単体で交換しても費用は変わらないため、個別のタイミングで交換しても問題ありません。
条件次第ではメーカー保証の無償修理が受けられる
耐用走行距離10万kmとされるウォーターポンプであっても、メーカーの設計不良や組立時の取付不備などがあると早期に異音や漏れが発生します。
多くの自動車メーカーでは、ウォーターポンプに新車登録から3年もしくは走行距離6万km、ないし5年10万kmの保証期間を設けているため、極端に早くウォーターポンプが異常を起こした場合はメーカー保証が適用され各ディーラーで無償修理をしてもらえます。
ただしメーカー保証を利用するには、正しい車の使用方法を守ったうえで、定期的な点検や整備を実施しているなどの条件があります。
またウォーターポンプに設計不良があった場合にも、リコールやサービスキャンペーンという形で改善を施した部品に無償で交換してもらえます。
リコールやサービスキャンペーンは中古で購入した車も有効であるため、早期にウォーターポンプから異音や漏れが発生した場合には、まずディーラーに相談してみるとよいでしょう。
DIYでの交換ですれば工賃を浮かせられる
ウォーターポンプ自体の価格は1万円程度、高価な電動ウォーターポンプであっても安い車種では2万円程度です。
つまり、DIYで作業すれば数万円かかる高い工賃を丸々節約できることになります。
ウォーターポンプの作業手順は以下のとおりです。
- 1.エンジンから冷却水を抜く
- 2.ウォーターポンプを駆動しているベルトを外す
- 3.ウォーターポンプを交換する
- 4.ベルトを取り付ける
- 5.冷却水を規定量まで入れる
- 6.ラジエーターキャップを外したままエンジンをかけてしばらく放置し、冷却水内の気泡を抜く
ただし、ウォーターポンプの交換にあたっては細かな注意点が多く存在し、取付ミスがあるとすぐに冷却水漏れを起こしてしまうリスクがあることは覚えておきましょう。
また、冷却水周りの作業は些細なミスから大きなトラブルに発展しやすいうえ、とくにタイミングベルトの着脱を伴う車種は作業中のミスによりエンジン不調や破損を招く恐れがあります。
作業慣れした方にはDIY交換がおすすめですが、それ以外の場合は整備工場へ依頼されることを推奨します。
ウォーターポンプの寿命を延ばす方法
ウォーターポンプの劣化を抑えるには以下の2点を守ることが大切です。
- ・適切なベルトの張り具合を維持
- ・冷却水の定期点検および交換
ウォーターポンプを駆動するベルトの張りが強すぎるとベアリングの摩耗を促進させ、異音の直接的な原因になります。
緩すぎると、今度はポンプの動作不良やベルト鳴きの原因になるため、程よい張り具合が維持されているか定期的にチェックをしてもらうとよいでしょう。
メカニカルシールとシャフトの潤滑は冷却水が担っているため、冷却水の状態もウォーターポンプの寿命に大きく関わります。
冷却水が不足したり濃度が薄くなるとシールが摩耗して冷却水漏れの原因となったり、水濡れによりベアリングの動きに異常が出やすくなります。
また、冷却水の濃度が薄まると防腐性能も低下し、ポンプや水路内部の錆や腐食が発生しがちです。
従来の約2倍の寿命を誇るスーパーLLCであっても定期的に状態を確認し、必要に応じて交換してください。
水道水などを用いた補充は、冷却水の濃度を薄めることになるため緊急時のみにとどめましょう。
ウォーターポンプの故障のタイミングで乗り換えも検討
数年以内に乗り換える予定があるのなら、ウォーターポンプを修理をせず、車を乗り換えてしまうことでムダな修理費用を支払わずに済みます。
ウォーターポンプの寿命とされる走行距離10万kmを過ぎると、ウォーターポンプだけでなく車の各所から異音がするようになり、その度に安くない修理費用がかかります。
それらを修理してコンディションを保ったとしても買取査定額はほとんど反映されず、多くの場合に収支はマイナスとなるケースがほとんどです。
車の年式と走行距離、次回の車検時期を加味しながら、ウォーターポンプの故障のタイミングで乗り換えるのも修理費用を抑えるための有効な一手といえるでしょう。
まとめ
故障するとオーバーヒートに発展するウォーターポンプは、数多くのパーツで構成される車のなかでも重要度が高い部品です。
とりわけウォーターポンプから発せられる「ガラガラ」といった異音は、交換のわかりやすい指標といえるでしょう。
異音が出はじめたからといって、すぐにウォーターポンプが動かなくなるわけではありませんが、トラブルの拡大を防ぐためなるべく早期の交換をおすすめします。
もしオーバーヒートを起こしてエンジンが動かなくなってしまったら、修理をする場合も、処分を検討している場合もぜひカーテンダーへご相談ください。
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