板金塗装完全ガイド!凹みや傷の費用相場や修理期間を徹底解説!
車の板金塗装とは、変形した車の外装部品(バンパー・ドア・ボンネットなど)を元通りに修復する作業です。
一度曲がった金属板を元に戻すのは困難であり、キレイに塗装するのにも高い技術が要求されます。そのため板金修理にかかる費用の大部分が技術料です。
このような事情があるため、板金修理の費用算出は非常に難しく、事故修理にどれだけの費用がかかるか把握しづらい点は、多くのユーザーが抱える共通の悩みとなっています。
今回は板金修理で直せる損傷や、それぞれの修理にかかる費用相場と修理期間など、板金修理にありがちな疑問を徹底的に解説していきます。
板金修理にまつわる知識を身につけることで、適切な業者選びができ、修理費用を安くできる可能性が上がります。
もくじ
板金塗装で直せる5つの傷・凹み
本来の板金塗装とは、部品交換をせずに金属加工のみで修復することを指します。現在は外装部品の交換や樹脂製外装の修理や塗装も板金修理の作業範囲となっており、ある程度の原形が残ってさえいれば、ほとんどの損傷が元の状態にまで復元可能です。
車の損傷は以下の5つに分類できます。
- ・傷(ひっかきキズ・こすりキズ)
- ・凹み(へこみ)
- ・塗装剥げ
- ・錆(サビ)
- ・車体骨格(フレーム)の歪み
塗装までを含めたこれらの修理をまとめて「板金塗装」と呼びます。まずは、それぞれの損傷の特徴を理解しておきましょう。
傷(ひっかきキズ・こすりキズ)
傷は外装のトラブルでもっとも多い事例といえるでしょう。
障害物や車との接触による深く広い範囲のこすりキズや、乗り降りの際に腕時計や荷物がボディに当たって付いてしまう浅いキズなどがその典型です。
車の塗装は0.1mm程度の厚さしかないうえ意外なほど柔らかく、爪でひっかくだけで簡単にキズがついてしまいます。
塗装がえぐれたひっかきキズや下地が見えるほどの深いこすりキズは、そのまま塗装をすると段差ができるため、パテと呼ばれる硬化樹脂でキズを埋めてから塗装をします。
凹み(へこみ)
凹みとは、ボディに大きな力が加わり表面が陥没するように歪だ状態です。
車の外板の厚さは0.5mm前後しかないため、手で押すだけで容易に凹んでしまいます。
軽度の凹みは裏側から叩き出したり、表側から引っ張り出すなどの方法で修復されます。
しかし、一度歪んだ金属を完全な平面に戻すことは難しいため、平面に近い状態まで戻してから、パテを使って凹凸を埋めることで平面に仕上げます。
手作業では修復できない程に変形した箇所は、部位ごと交換されるのが一般的です。
凹み修理は板金加工と塗装を伴うため、一般的にキズ修理よりも費用がかかります。
塗装剥げ
接触事故などがなくとも、車の塗装は自然と薄くなったり剥がれてくることがあります。
これを塗装剥げと言います。塗装剥げが起こる原因は、紫外線や鳥の排泄物などの影響による塗装自体の退色や劣化に加え、飛び石などで付いた小さく深いキズから雨水が侵入するなどして起こる塗装の剥離などが挙げられます。
多くの塗装剥げは、一度周辺の塗装を剥がし表面処理を施してから再塗装するだけで修理可能です。
「足付け」と呼ばれる塗装前の表面処理不良や、塗装面に付着した油汚れの除去不足などの人的ミスによっても塗装剥げは起こります。
板金塗装ではこうした表面処理作業も入念に行われています。
錆(サビ)
車のボディは塗装によって保護されているものの、小さなキズから塗装の内側に雨水や湿気が侵入したり、ボディの内側に溜まった水などが原因でサビが発生することがあります。
とくに潮風が当たる海辺や、道路に融雪剤(塩化カルシウム)が撒かれる降雪地はサビが発生しやすい環境です。
サビは非常にゆっくりと進行するため、気づかないうちに塗装の下でサビが発生し、ボディに穴を空けてしまうこともあります。
小さな穴ならパテやハンダで埋めて塗装するだけで修理できますが、大きな穴や欠損は手間のかかる溶接修理となるため、サビが進行するほど費用が高くなる傾向にあります。
金属表面に浮き出た程度のサビなら、削り落として塗装し直すだけで修理できるため費用も安価です。サビの修理は早いに越したことはありません。
車体骨格(フレーム)の歪み
車体骨格(フレーム)の歪みは衝突事故によって、車を支える骨組み部分が歪むことです。
車体骨格(フレーム)の歪みを除去するフレーム修正で直します。
車全体の歪みは手作業では修復できないため、専用設備を用いてボディ全体の微細な歪み具合を計測しつつ、非常に強い力でボディを引っ張りフレームの歪みを修正します。
修正しきれない場合はフレームを部分的にカットして溶接で補修する場合もあります。
フレームの歪みはわずかであっても「車が真っ直ぐ走らない」「ドアの締りが悪い」などの症状を引き起こします。
車種や損傷状態によっては、どんなに優れた板金修理工でも修復できない場合があることは覚えておきましょう。
板金塗装の手順
キズや凹みなどの板金修理は以下の手順で行われます。
- ①状態確認
- ②板金加工・表面加工
- ③パテを使って平滑化
- ④下地処理
- ➄マスキング・不要部品の取り外し
- ⑥色調
- ⑦塗装
- ⑧磨き
板金修理の作業を簡単に説明すれば、キズや凹みの形状を整え、塗装をするだけの修理といえます。
しかし、それぞれの行程の間には清掃や乾燥の行程が入るためどうしても時間がかかるうえ、それぞれの作業自体にも一朝一夕では身につかないほどの細かな技術が要求されます。
【場所別】板金塗装の価格相場
板金塗装で直せる傷や凹みの種類がわかったところで、具体的な修理金額を見ていきましょう。
板金修理費用には多くの要素が関わるものの、部位ごとにおおよその相場は決まっています。
下記の価格表は、一般的な中型車の板金修理1箇所あたりの価格相場です。
修理箇所/項目 | 塗装剥げ修理費用 | キズ修理費用 | 凹み修理費用 |
前後バンパー | 1〜3万 | 1〜4万円 | 1万5,000〜4万円 |
ボンネット | 3〜5万円 | 4〜8万円 | |
ドア | 2〜6万円 | 2万5,000〜8万円 | |
バックドア | 2〜4万円 | 3〜8万円 | |
フロントフェンダー | 2〜5万円 | 3〜6万円 | |
リアフェンダー | 2〜5万円 | 3〜8万円 | |
ドアミラー塗装 | 5,000円〜1万円 |
修理箇所/項目 | 軽度のサビ修理費用 | 穴あき修理費用 |
サビ修理 | 5.000円〜3万円 | 1〜5万円 |
修理箇所 | フレーム修理費用 | |
フレーム修正 | 10〜100万円 |
板金塗装の費用は、修理箇所や面積、状態によって費用も変動し、部品交換が発生した場合は部品代も追加されます。
ドアのように袋状になった複雑な箇所は工数が増えるため費用も高額になりがちです。
また、塗装の色には、大きく分けて下記の3つがあります。
- ・ソリッド(白や黒の単色)
- ・メタリック(金属粒子が混じった塗装)
- ・パール(真珠のような輝きを持つ塗装)
ソリッド<メタリック<パール の順に塗装の工数が増えるため、塗装費用は比例して高くなることも覚えておきましょう。
より詳しい費用が知りたい方は「車の板金費用はいくら?その場ですぐ料金がわかる方法を伝授」の記事をご参照ください。
板金塗装にかかる期間は1日〜5日
車を日常的に利用する人にとっては費用のほか、どれくらいの修理期間がかかるのか、という部分も気になるところでしょう。
下記の表は修理1箇所あたりの修理期間の一覧です。
修理項目 | 修理期間 |
キズ | 数時間〜1日 |
凹み | 1〜2日 (重度の場合は1週間程度) |
塗装剥げ | 1日 |
サビ | 2日〜 |
フレーム修正 | 2〜5日 (重度の場合は1週間から1ヵ月程度) |
板金塗装にかかる期間も、費用と同じく修理が必要な部位や面積、状態に応じて大きく変動します。
実際の修理期間は工場の混雑状況にも左右されますが、状態ごとの修理期間はおおむね表のようになっています。
なかでも、凹みやサビ修理は手間がかかるため修理期間は長くなりがちです。
ドアやリアフェンダーなど構造が複雑な箇所の修理も完了までの期間がさらに長くなる傾向にあります。
フレーム修正は多くの場合に1週間程度で完了しますが、損傷状態によっては1ヵ月を超えるケースもあります。
板金塗装を依頼できる4つの業者
板金塗装を依頼できるのは以下の4業者です。
- ・ディーラー
- ・板金塗装工場
- ・カー用品店
- ・ガソリンスタンド
それぞれの業者で費用の違いやメリット、デメリットがあるため、板金修理は症状や予算、都合などに応じて依頼する業者選び分けることが大切です。
ディーラー
自動車販売と修理に対応するディーラーではあるものの、多くの店舗には塗装設備が備わっていません。ディーラーが受け付けた板金塗装依頼は、店舗併設の工場で対応できない場合、以下の板金修理工場へ外部発注されます。
- ・ディーラー直営工場
- ・メーカー直営工場
- ・提携する外部の工場
ディーラーを介した板金塗装は、積極的な部品の着脱や交換によって仕上がりが優先されるため、修理費用はどうしても高くなりがちです。その代わりディーラーの厳しい修理規準を満たせる工場でのみ作業が行われるため確実な仕上がりが期待できます。
利用者にとっては板金塗装工場を探す手間が省けるうえ、休日でも対応してくれる使い勝手の良さもディーラーを利用する大きなメリットといえるでしょう。
板金塗装工場
板金塗装工場への直接依頼は、中間マージン等が発生しないため修理費用が安価。さらに総じて技術力も高いため安心して任せられます。しかし、店舗によって技術や価格、営業時間などに違いがあるため店舗選びが難しい点がデメリットです。
依頼先選びに迷ったなら保険会社と契約をしているDRS工場(高品質の修理サービスを提供する整備工場)や、ディーラーと契約を結んでいる板金塗装工場への依頼がおすすめです。
ただし、保険会社の紹介客やディーラーの修理が優先されることもあるため、作業に時間がかかる場合があることは覚えておきましょう。事故修理で依頼する場合は保険会社の紹介があると優先的に修理してもらえます。
カー用品店
カー用品店の板金修理は小さなキズなら店舗工場で対応し、手に負えないほど大きな損傷は契約している板金塗装工場に委託されるか、修理自体を断られるケースがほとんどです。
数センチ程度の小さなキズなら、板金塗装工場と比べても早く安価な修理が可能。店舗によっては損傷状態に応じた費用が明確に示されており、事前に修理費用の把握がしやすい点もメリットです。
土日祝日の営業はもちろん、営業時間もディーラーより長いため、カー用品店は修理窓口としての使いやすさにも優れています。
また、カー用品店では社外部品を専門に取り扱うため、板金修理のついでに社外バンパーやボンネットへの変更にも対応してくれます。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドの主業務は燃料販売ですが、大型店舗では整備や板金修理を受け付けている場合があります。
小さく軽度のキズや凹みを安く早く直すためのサービスが展開されており、手のひらサイズの損傷であれば即日の修復も可能です。
事前に予約をすれば代車を出してくれる店舗もあります。ただし、同じ系列店であっても、店舗によっては板金修理に対応していない場合や、サービス内容の詳細が異なる場合があります。
店舗数が多く、大型ガソリンスタンドは土日祝日の営業はもちろん深夜まで営業しているため、忙しい方でも利用しやすい点がガソリンスタンドの板金修理の大きなメリットです。
DIYでの板金は難易度が高い
軽度のキズなら、カー用品店やホームセンターで購入できる道具を使って自分で修理することも可能です。
クリア層に付いた浅いひっかきキズ程度ならキズの周辺を洗浄後、キレイな布に液体研磨剤を適量とって磨き上げ、残った研磨剤を水を使って洗い流すだけで目立たなくできます。
深い小キズや浅い凹みは、パテ(硬化樹脂)で段差を埋め、ボディと同色の塗料を用意して塗り、仕上げに透明のスプレーなどで色味を整えれば補修完了です。
ただし、板金修理自体はDIYでもできますがキレイに仕上げるのは非常に難しく、失敗すると取り返しが付かなくなる場合があるうえ、手直ししてもらう際に別途復元費用を請求される場合があります。
板金塗装の修理費用が高額なのは、それだけ高い技術と長い経験が必要なためです。少しでも作業に不安があるなら小さなキズでも業者への修理をおすすめします。
板金での修理は車両保険適用できる!
自動車任意保険に付帯させられる車両保険に加入していれば、板金塗装修理を含む事故での修理費用を、保険会社が事前に定められた条件と範囲内で負担してくれます。
高額な板金修理による経済負担を抑えるためにも車両保険の加入は有用です。
ただし車両保険を使うと等級が下がり、翌年の保険料の値段が高くなるため、軽微な修理に車両保険を使用するのはかえって損となります。
保険料の値上がり額以上に修理費用がかかる場合に限り、車両保険の使用を検討するとよいでしょう。
まとめ
今回は車の板金塗装について詳しく解説をしました。
板金塗装は車の外装が変形した時に元通りにする修復の作業です。
そのため、修理の場所や損傷の程度は修理の費用・期間に影響します。
費用・日程に関して押さえておくべき点は下記の3つです。
以下、テーブルで提示
・修理費は部品代と技術料で構成され、場合によっては技術料が大半を占める場合も
・パーツごとの値段が違うため、どこを修理するかで修理費・日程が変わる
・DIYであれば、安く早く修理できるが、ミスをすると返って費用・日程がかかってしまうことも
また、修理を依頼する場所は以下の4つが挙げられます。修理に置いて何を重視するかで選びましょう。
依頼先 |
特徴 |
ディーラー |
・部品交換になることが多い ・純正パーツを使用するので費用が高い ・メーカー基準で修理されるので仕上がりの質は高い |
板金塗装工場 |
・ディーラーと比べると修理費用は安い ・板金塗装が専門なので技術力は期待できる ・店舗によって費用や技術力に差がある |
カー用品店 |
・小さめの修理は安く早く修理できる ・料金体系が明確でしっかりしている ・大き目の損傷の修理ができない |
ガソリンスタンド |
・手のひらサイズのキズであれば即日修理も可能 ・店舗によっては修理サービスを行っていないところもある |
当サイト【カーテンダー】は事故車買取実績No.1の株式会社タウが母体となっています。
事故車に関する豊富なノウハウを生かし、車の状態やお客様の要望などを踏まえて、最適な修理のご案内が可能です。
また、リサイクルパーツでの修理にも対応しており、新品部品での修理よりも費用を抑えて修理が可能なので、安く修理をしたいという方にもおすすめです。
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カーテンダーでは創業25年以上の経験を活かして、お客様に最適な修理を提案いたします。
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