サーモスタットとは?交換費用・交換時期・寿命・交換方法などを解説
「サーモスタットはいつ交換したらいいの?」「サーモスタットの交換にはどのくらいの費用がかかる?」上記のような疑問や不安を抱えていませんか?サーモスタットは、壊れるとオーバーヒートのような重大な故障を引き起こすこともある装置。そのため、できる限り適切な形で交換を行いたいですよね。
当記事では、サーモスタットの概要や交換時期、交換にかかる費用などについて解説。記事を読むことで、サーモスタットの交換に関する疑問が解決し、安心して交換できるようになるでしょう。
もくじ
サーモスタットは10年もしくは10万kmで交換が必要
サーモスタットは、使用を始めてから10年、もしくは車が10万キロほど走行した時点で寿命が来るとされています。安全な走行を続けるためにも、サーモスタットの寿命が来たら早めに交換を行うようにしましょう。
ちなみにサーモスタットの寿命は、車の使い方によっても異なります。例えば重たい荷物をたくさん載せて走ることの多いトラックは、エンジンが熱くなりやすいため、サーモスタットが早く劣化しやすい傾向にあります。
サーモスタットは、エンジン内部にあるベルト「タイミングベルト」の交換タイミングで一緒に交換することをおすすめします。というのもタイミングベルトは、サーモスタット同様に、使い始めてから10年もしくは走行距離10万キロほどで寿命が来るとされているためです。
同じくらいの寿命であるタイミングベルトと共に交換すれば、交換し忘れる心配もありません。サーモスタットは完全に故障していなくても、日が経つにつれて温度調整の機能が徐々に衰えていきます。
エンジンを動かしてから冷却水の温度が正しい温度になるまでに時間がかかる場合、かなり性能が落ちている可能性があります。ディーラーや整備工場に相談することをおすすめします。
サーモスタットは冷却水の温度を調整する装置
上記ではサーモスタットの交換時期について解説しましたが、ではそもそもサーモスタットとはどのようなものなのでしょうか。
サーモスタットとは、冷却水の温度や量を調節する装置のことです。冷却水には、エンジンを適切な温度にキープして安全な走行をサポートする役割があるため、こうした冷却水の調整を担うサーモスタットは重要な装置だと言えるでしょう。
サーモスタットは消耗品であるため、長く使い続けるのは禁物。劣化しても使い続けていると、エンジンに問題が出てくるケースもあります。サーモスタットが劣化し始めたら、早めに点検や交換を実施しましょう。
サーモスタットが壊れることで起こること2選
上記では、サーモスタットの寿命や概要について解説しました。では寿命を超えて使い続けたりしたことでサーモスタットが壊れると、車にどのような影響をもたらすのでしょうか。
特に多く見られる症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・オーバーヒートする
・オーバークールする
それぞれについて順番に見ていきましょう。
オーバーヒートする
サーモスタットが故障すると、サーモスタットに取り付けられたバルブが閉まったままになってしまうという不具合を生じさせるケースがあります。
バルブが閉まったままになれば、冷却水はラジエーター(放熱する装置)を通過できなくなるため、どんどん水の温度が高くなっていくことに。そして熱いままの冷却水がひたすらエンジンの中を回り続けるため、エンジンの温度も高くなっていきます。
上記の状態が続くことで引き起こされるのがオーバーヒートです。オーバーヒートとは、車のエンジンが熱くなりすぎている状態のことを指します。オーバーヒートになればエンジン自体が故障し、炎上や爆発、車両火災などの大きな事故につながる可能性もあるでしょう。
事故にならなかったとしても、エンジンの交換には100万円近い費用がかかるケースもあるため、大きな損害を招くリスクがあります。
オーバーヒートの前兆としてよく見られる現象としては、水温警告灯の点灯が挙げられます。水温警告灯は、赤く点灯することで冷却水が高温になっていることを伝えるランプです。そのほか、水温計を見ることでも判断できます。水温計が115度以上の数値を示している場合は、オーバーヒートになっている可能性が高いでしょう。
オーバークールする
サーモスタットが故障すると、オーバークールを引き起こすケースもあります。
オーバーヒートはよく耳にするものの、オーバークールは初めて聞いたという方も多いかもしれません。オーバークールとは、エンジンが過度に冷たくなっていたり、温まらない状態にあったりすることを指します。
オーバークールは、サーモスタットのバルブが開いたままの状態になっている場合に発生します。バルブが開きっぱなしになっていると、冷却水がずっとラジエーターを通ってエンジンの周囲を回り続けることに。冷たい温度の冷却水が循環し続けることで、エンジンが温まらなくなってしまうのです。
オーバークールは、オーバーヒートのように大きな事故を引き起こしたりする原因にはなりにくい現象です。とはいえさまざまな不具合を引き起こすため、放置しておくわけにはいきません。
例としてオーバークールが起こると、車の中にあるコンピューターが「エンジンが冷えている」と判断し、燃料の濃度をアップするため燃費が悪くなります。さらにエアコンのヒーターが効きにくくなったり、エンストを引き起こしたりすることも。
目安として、水温計に表示された温度が70度以下となっている場合、オーバークールになっている可能性があるでしょう。水温警告灯が搭載された車であれば、ランプが青色に点灯します。快適な走行を続けるためにも、オーバークールの疑いがある場合はすぐに点検や交換を実施しましょう。
サーモスタットの交換にかかる費用
サーモスタットが故障した際に見られる症状についてわかったところで、交換費用について見ていきましょう。
サーモスタットの交換にかかる費用は、業者に依頼するのか自身で交換するのかによっても異なります。業者に依頼する場合は1万円前後の費用がかかりますが、DIYの場合は5,000円前後で交換可能です。
業者に依頼して交換すると1万円前後
サーモスタットそのものは、2,000〜3,000円程度で購入できます。ただしサーモスタットを交換する際は、液漏れを防止するシール剤であるガスケットを一緒に交換しなければなりません。
また、サーモスタットを交換する過程で冷却水が外にこぼれだしてしまうため、こぼれた分の冷却水は補充する必要があります。ガスケットや補充する冷却水の分として、プラス1,500円程度かかることになるでしょう。
さらにサーモスタット交換をプロに依頼するとなると、工賃も発生することになります。工賃はお店や業者によっても異なりますが、4,000円程度は発生することになるでしょう。上記のような費用がかかるため、交換は1万円前後で行えることになります。業者に依頼して交換すると、工賃が増える分費用はやや高くなりますが、「プロに交換してもらえた」という安心感が得られるでしょう。
DIYで交換すると5,000円前後
サーモスタット本体やガスケット、冷却水の交換にかかる費用は、業者に依頼する場合とほとんど変わりありません。工賃が差し引かれることになるため、合計すると5,000円前後の費用で済ませられることになります。
DIYで交換する場合、冷却水をどのくらい購入していいか迷ってしまうでしょう。一般的には、軽自動車であれば5リットル程度、普通自動車であれば10リットル程度必要となります。
DIYで交換を行えば工賃が発生しないため、比較的安く交換可能です。ただし「うまくできているかわからない」という不安を感じたり、面倒な作業を自分で行わねばならなかったりするといったデメリットもあります。
サーモスタットのDIYでの交換方法
サーモスタットは精密部品であるエンジン内部にあるパーツのため、交換に不安を覚える方も多いでしょう。しかし正しい手順に沿って行えば、交換はそこまで難しい作業ではありません。
素人の方であっても行えるため、費用を抑えたい方はぜひ挑戦してみてください。以下では、サーモスタットの具体的な交換手順について解説していきます。
サーモスタットの交換を自身で行う場合は、最初にサーモスタットの位置を確認しておきましょう。というのも、車種によってはサーモスタットがエンジンルームの奥の方に設置されているケースもあるためです。
サーモスタットが奥の方にあると、作業をスムーズに進めるためにサーモスタットの周りにあるパーツを先に取り出さねばならないケースも。そうなれば、面倒な工程が増えてしまいます。
サーモスタットの交換が円滑に行えるのか確認するためにも、一度自身の車におけるサーモスタットの位置をチェックしておくのがおすすめです。サーモスタットの位置の関係上、DIYで行うのは難しそうだと判断した場合は、プロに依頼しましょう。
必要なものを準備する
まずは、サーモスタットの交換に必要なものを準備しましょう。準備すべきものは以下の通りです。
・新品のサーモスタット
・サーモスタットに取り付ける新品のパッキン
・新品のドレンコック(冷却液などを抜くために用いる排液口の栓)のパッキン
・冷却水
・バケツ
・冷却水をスムーズに入れるための漏斗
・10mmもしくは12mmのソケットレンチ
エンジンが熱くなっていないか確認する
作業前に、エンジンが冷えていることをチェックしましょう。
車のエンジンは、800度という高温に達することもあるパーツです。エンジンが高温になった状態で作業を始めると、熱い冷却水に触れて火傷をする恐れがあります。
直前まで動いていたエンジンはまだ熱を持っている可能性が高いため、エンジンを停止してから30分〜1時間ほど経過した後に作業を始めましょう。
中の冷却水を抜く
サーモスタットは、冷却水が通過するパーツとつながっている装置です。そのため多くの場合、冷却水が作業中にこぼれないよう、先に抜いておかねばなりません。
ラジエーターの下にあるドレンコックを開き、中の冷却水を抜きます。
冷却水は毒性があるため、そのまま流してしまわず、バケツなどで受け止めましょう。冷却水をすべて出し終えたら、ドレンコックを閉じます。
この際、ドレンコックについているパッキンを新しいものに交換します。水漏れを引き起こす可能性があるため、古いパッキンを使い回すのは避けましょう。
ラジエーターのホースを外す
ラジエーターには、上側から伸びているアッパーホースと、下側から伸びているロアホースという2つのホースが出ています。2つのうち、ロアホースのエンジン側を取り外しましょう。
ホースは固定されているため、ペンチでバンドをずらして抜き取ります。なかなか抜けない時は、パイプとホースの間にマイナスドライバーを差し込んで隙間を作るのがおすすめです。
サーモスタットを取り除く
ホースを抜いたあとは、ボルトを回してパイプを外し、古いサーモスタットを引き抜きましょう。サーモスタットは引っ張れば簡単に抜けます。取りにくい場合は、工具を引っ掛けて取り除きましょう。
新しいサーモスタットを入れ込む
新しいサーモスタットに交換し、ボルトをすべて均一に締めます。サーモスタットの上側には、エア抜きするためのジグルバルブが用意されています。
ジグルバルブとは、サーモスタットのエアーを抜きやすくするために用意された補助弁のことです。ジグルバルブが上を向くように取り付けることを忘れないようにしましょう。
冷却水を注ぐ
リザーバータンクの上側から冷却水を注ぎます。事前に漏斗を用意しておくと、スムーズに入れられます。
冷却水を補充する
ラジエーターキャップを開いた状態でアイドリング運転を行いましょう。すると冷却水がラジエーターの方に流れていき、リザーバータンクの水位が下がっていきます。リザーバータンクの内部で減少した分の冷却水を補充し、正しい量で満たしましょう。
ラジエーターの気泡を抜く
余分な空気が冷却水の中に残るのを防ぐために、ラジエーターのエア抜きを実施しましょう。ラジエーターのキャップを開いた状態でアイドリングを実施し、大きめの気泡が出なくなるのを待ちます。
ラジエーターキャップをしめる
冷却水が正しい量だけ入っているか・漏れていないかを再度チェックし、ラジエーターキャップをしめたら作業は終了です。
まとめ
最後に内容をおさらいします。
サーモスタットは一般的に、使用を始めてから10年、もしくは車が10万キロほど走行した時点で寿命が来ます。故障するとオーバーヒートやオーバークールを引き起こす可能性があるため、早めに交換を行いましょう。
サーモスタットの修理をプロに任せたいと思った際は、ぜひカーテンダーにご相談ください。
カーテンダーでは創業25年以上の経験を活かして、お客様に最適な修理を提案いたします。
電話・フォームからお気軽にお問い合わせください。
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