ドライブシャフトの交換費用は?シャフト本体よりもブーツの破損に要注意!
ハンドルを切ると「カタカタ」「ガラガラ」といった異音が発生する場合、原因の多くは前輪のドライブシャフトの異常です。ドライブシャフトは車にとって非常に重要な部品であり、修理が遅れるほど高額な修理費用がかかる特徴があります。
その反面、異常を早期に発見し適切に対処できれば、車を乗り換えるまで交換せずに済ませることも不可能ではありません。今回はドライブシャフトの修理費用に加え、ドライブシャフトを長持ちさせる方法や、異音が発生した際の対処法などを詳しく解説します。
もくじ
ドライブシャフトとはタイヤを駆動するための動力伝達軸
ドライブシャフトとは、動力をタイヤに伝えるめの軸(シャフト)であり、「ドラシャ」と略して呼ばれることもあります。ドライブシャフトは走行に関わる重要部品なだけあって、走行距離10万km以上の耐久性が持たされており、本来は頻繁に交換されるものではありません。
ただし、ドライブシャフトに備わるゴム部品は別途点検や交換が必要です。ドライブシャフトには折れ曲がった状態でも回転を伝えられる構造の「等速ジョイント」と呼ばれる特殊なベアリング機構が組み込まれており、内部にゴミなどが混入しないようにゴムブーツで入念に保護されています。
この「ドライブシャフトブーツ」と呼ばれるゴム製のブーツのなかに等速ジョイントの潤滑を促すグリスが封入されていることで、ドライブシャフトはハンドルを切った状態でも、サスペンションが上下動している状態でも滑らかにタイヤを回すことができます。
ドライブシャフトブーツが破れて内部のグリスが漏れ出し、等速ジョイントが異常摩耗を起こしてしまうのがドライブシャフトの異音や振動の原因です。明らかな異音や振動が出るようになってしまったドライブシャフトは原則として交換するしかありません。
ドライブシャフトのトラブルのほとんどがブーツの破れによる等速ジョイントの異常であるため、ブーツの管理状態がドライブシャフトの寿命を決めるといってもよいでしょう。ただし、ドライブシャフトやブーツの痛み具合は駆動方式によっても異なります。
FRやMRなどの後輪駆動車は前輪にドラシャがない
FR(フロントエンジン・リアドライブ)やMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)などの後輪だけが駆動する車は、そもそも前輪にドライブシャフトが存在しないため、ドライブシャフトが原因の異音や振動は発生しません。
FRやMRの後輪に備わるドライブシャフトは、ジョイントの屈曲が少ないこともあって、比較的ブーツが劣化しにくい傾向にあります。
前輪が駆動するFFと4WDはドラシャが劣化しやすい
サスペンションの上下動に加え、操舵による動きも加わるフロントドライブシャフトは等速ジョイントの屈曲が大きくなるため、それだけブーツの負担も大きくなります。
また、ハンドルを大きく切りながらアクセルペダルを大きく踏み込んで加速する操作も、等速ジョイントを痛めやすい行為です。フロント側にドライブシャフトが備わるFF(前輪駆動車)や4WD(四輪駆動車)の前輪は、構造上どうしてもドライブシャフトが劣化しやすい傾向にあります。
ドライブシャフトの交換費用は2万7,000円〜7万円
新品ドライブシャフトの交換費用 | 費用 |
フロントドライブシャフト部品価格(新品) | 3万〜5万円 |
交換工賃 | 1万5,000〜2万円 |
合計 | 4万5,000〜7万円 |
新品ドライブシャフトの値段は1本あたり3万〜5万円。交換工賃は1箇所あたり1万5,000〜2万円程度であるため、交換にかかる費用の目安は4万5,000〜7万円です。
ただし、ドライブシャフト本体の値段や工賃は車や依頼先によっても上下することは覚えておきましょう。より高い耐久性が求められる大出力エンジンを搭載した車や、重い車ほど部品代も高くなる傾向にありますが、一般的な乗用車であれば多くの車種が上記の価格に収まります。
新品のドライブシャフトの値段が高いと感じるなら、中古部品を整備したリビルト品のドライブシャフトへの交換がおすすめです。リビルト品ならドライブシャフト1本あたりの価格は新品価格の半額程度にまで安くなるうえ、リビルト品はドライブシャフトブーツも新品に交換され、なかには2年2万km程度の保証が付く製品もあります。
もちろん新品に比べてリビルト品は信頼性や寿命には劣るものの、整備工場での修理はおもにリビルト品のドライブシャフトが用いられています。代表的な軽自動車と普通車のリビルト品を使ったドライブシャフトの交換費用は以下のようになります。
軽自動車の修理費用は3万円|ダイハツ タントの場合
車種例:ダイハツ タント(L375S) | 費用 |
フロントドライブシャフト部品価格 (リビルト品) | 1万5,000円 |
交換工賃 | 1万5,000円 |
合計 | 3万円 |
普通車の修理費用は2万7,000円|トヨタ プリウスの場合
車種例:トヨタ プリウス(ZVW30) | 費用 |
フロントドライブシャフト部品価格 (リビルト品) | 1万2,000円 |
交換工賃 | 1万5,000円 |
合計 | 2万7,000円 |
ドライブシャフトブーツの交換で済むなら修理費用は1万円程度
通常走行をしている限り「ドライブシャフトの折れ」や「等速ジョイントの割れ」などの物理的破損が原因で交換されるケースは非常に稀です。錆による折損で交換される例は確かにあるものの、等速ジョイントの損耗で生じた異音が原因で交換されるケースがほとんどを占めます。
そのためドライブシャフトブーツの破れにいち早く気づいて交換できれば等速ジョイントへのダメージを最小限に抑えられます。つまり、異常が出たブーツは早期に交換するほど余計な修理費用をかけずに済むということです。
ドライブシャフトブーツ自体の値段は5,000円前後と安価。しかし、ドライブシャフトの脱着作業が必要になるためリビルト品への交換とそれほど変わらない費用ががかかってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、工賃込み1万円以下で交換できる「分割式ブーツ(メルトジョイントブーツ)」です。分割式ブーツは被せてから接着剤で密閉できるためドライブシャフトの脱着が不要であり、ブーツ交換の作業工賃を大きく抑えることができます。
ブーツのみを交換する場合は、必ず分割式ブーツを用いて修理してもらいましょう。
ドライブシャフトブーツは走行距離5万km程度で破れる場合も
ドライブシャフトブーツの寿命は装着後5年もしくは走行距離5万km程度とされています。しかし、実際の交換時期は車の使い方によって大きく変動し、10万kmまで無交換で済む場合もあれば5万kmを待たずに交換を迫られるケースもあります。
とくに市街地走行を主体とし、ハンドルを大きく切るシーンが多い前輪駆動車はそれだけ劣化も激しくなりがちです。
ドライブシャフトからのグリス漏れは車検の点検項目でもあるため車検整備時に必ずチェックされます。しかし2年ごとの点検だけでは、その間にブーツの破れがあった場合、等速ジョイントへのダメージは避けられません。
ドライブシャフトの状態を保つためには、なるべく点検頻度を多く設けて早期に破れを発見することが大切です。1年点検や6ヵ月点検を実施していないのであれば、オイル交換のついでに毎回ブーツの状態を点検してもらうとよいでしょう。
また、分割式ブーツは作業時の接着不良などによるトラブルが起こりがちであるため、ブーツの交換直後の点検も必須です。
ブーツの破れを放置すると異音や振動の原因に
ブーツの破れを放置すると、グリス不足で潤滑不良に陥った等速ジョイントが摩耗し、異音が発生したりガタが出て走行中の振動が発生します。さらにそのまま走行し続けると等速ジョイントが割れてタイヤに駆動力を伝えられなくなり、最終的には走行不能に陥ります。
劣化したグリスや等速ジョイントのみを交換する分解整備(オーバーホール)で修理できる場合もありますが、オーバーホール費用はドライブシャフト1本あたり脱着工賃込みで2万5,000〜3万円と高額であり、リビルト品への交換と同程度の費用がかかってしまいます。
このようにブーツの破れを放置すると1万円程度で修理できたものが、その2〜3倍の修理費用を支払う結果になりかねません。ムダな修理費用をかけないためには、ドライブシャフトブーツの状態を定期的に点検するのがもっとも確実で効果的です。
ドライブシャフトの修理はどこに頼むのがお得?
ドライブシャフトの修理や交換は、以下の状況に応じて依頼する業者を使い分けることをおすすめします。
- ・リコール修理や保証期間内ならディーラー
- ・修理費用を抑えたいなら整備工場
- ・ブーツ交換だけならカー用品店
それぞれの依頼先のメリットとデメリットをより詳しく解説していきます。
リコールや保証期間内ならディーラーへ
ドライブシャフトには多くの自動車メーカーが新車登録後5年もしくは走行距離10万kmの保証を設けています。また負担がかかる部位であるため、設計段階での強度不足などが発見された場合にはメーカー側の責任として、改良を加えた対策品に無償交換してくれます。
保証期間やリコールの対象となっている場合は、迷わずディーラーへ修理を依頼し無償修理を受けましょう。それ以外の場合は、作業工賃が高めであるうえ、高価な新品純正部品を使うディーラーでの修理は費用が高くなりがちであるため利用するメリットが薄くなります。
ただしディーラーであっても、店舗や車種によってはリビルト品や社外部品の分割式ブーツへの交換も受け付けている場合があります。ディーラーの修理費用が高いと感じたら、それらへの交換を申し出てみるとよいでしょう。
修理費用を抑えたいなら整備工場がおすすめ
ドライブシャフトの交換はもちろんブーツの補修であっても、もっとも費用を抑えられる修理依頼先は自動車整備工場です。整備工場はディーラーに比べて工賃単価が安いうえ、リビルト品や中古品、分割式ブーツ等を積極的に利用するため修理費用が抑えられます。
ただし、整備工場は土日祝日が休みの場合が多いため、やや利用しづらいのが欠点です。
一部の整備工場では、ドライブシャフトのオーバーホールも受け付けています。ドライブシャフトに大きな負担がかかるサーキット走行をする車や、部品が手に入りづらい古い車などはドライブシャフトのオーバーホールで調子を維持するとよいでしょう。
ブーツ交換ならカー用品店でも作業できる
交換作業が簡単な分割式ブーツならカー用品店でも安価な費用で対応してもらえます。ただし商品在庫が豊富なカー用品とはいえ、車種専用部品となるドライブシャフトブーツは取り寄せ対応となることは覚えておきましょう。
しかし、部品到着までの時間は長くても数日程度です。土日祝日の営業はもちろん、営業時間も長いカー用品店は、気づいたときにすぐに利用できるメリットがあります。
分割式ドライブシャフトブーツならDIYでも交換可能
ドライブシャフトの脱着が不要な分割式ブーツならDIYでの交換も可能です。分割式ブーツはインターネット通販でも安価に販売されており、自分で交換できれば部品代と作業工賃の両方を抑えられます。
分割式ブーツの交換キットには、グリスや接着剤、固定用金属バンドなどが同梱されており、商品によっては融着促進用の加熱剤が付属する場合もあります。基本的な作業方法はいずれの交換キットも同じですが商品ごとにわずかな差異があるため、必ず取扱説明書に目を通してから作業に取り掛かりましょう。
分割式ドライブシャフトブーツへの交換に際しては、以下の工具などを準備する必要があります。
- ・ジャッキ
- ・リジッドラック
- ・パーツクリーナー
- ・ウエス
- ・ペンチ
- ・ニッパー
- ・マイナスドライバー
- ・ハンマー
おおまかな作業手順は以下の通りです。
- 1)ジャッキアップしてリジッドラックに車を乗せタイヤを外す
- 2)ドライブシャフトブーツを固定している金属製のブーツバンドをニッパーやペンチを使って取り外す
- 3)古いドライブシャフトブーツを取り外す
- 4)ウエスとパーツクリーナーを用いて古いグリスを除去する
- 5)ブーツに接着剤をつける(必要な場合は接合部に加熱剤を当てて融着促進)
- 6)ブーツをドライブシャフトに被せる
- 7)ブーツ内に新しいグリスを入れる
- 8)ペンチもしくはマイナスドライバーをハンマーで叩いてかしめ、ブーツバンドを固定する
以上のように、分割式ブーツは比較的簡単に交換できます。しかし、ドライブシャフトを車体から一度取り外さなければ装着できない一体型ブーツの交換作業は、取付不備があった場合に大きな危険を伴うため、業者へ依頼するのが無難です。
事故によるドライブシャフト破損ならカーテンダーへ
ドライブシャフトは定期的な点検によって早期に異常を発見できれば、長期間に渡って交換せずに使い続けることができます。しかし、衝突事故ともなると話は別です。
タイヤ付近の衝突ではドライブシャフトが曲がったり折れたりして交換が必要になる場合があります。また、ドライブシャフトが損傷するような事故では、同時にサスペンションやボディも相応の修理が必要です。
そのような広範囲の修理が必要な事故修理では、中古部品を扱う修理業者を選ぶことで費用を安く抑えられます。
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