車のブレーキが効かない!どうすれば?不具合の原因や対処法を解説
車の「ブレーキ」に何らかのトラブルが発生していると、車が十分に減速できず、事故に繋がる恐れもあります。
「ブレーキが普段より効きにくい」
「ブレーキを踏んだ感触や車の動きがおかしい」
「全然効かずに慌てて走行をやめた」
など、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ブレーキの効かなくなる原因には、ブレーキそのものの劣化だけでなく、「フェード現象」のようにブレーキの使い方によって一時的に生じるものもあります。
当記事では、
-
- ・ブレーキが効かない原因
-
- ・ブレーキが効かなくなる現象
-
- ・ブレーキが効かない場合の対処方法
-
- ・日常的に気を付けること
等について解説します。
愛車のブレーキが効かなくなり、どう対処すべきか悩んでいる方は、ぜひご参考ください。
もくじ
ブレーキが効かない原因
車のブレーキが効かない原因として、代表的なものは次の8つです。
- ・ブレーキオイルの劣化
- ・エアの混入
- ・ブレーキパッドが減っている
- ・ブレーキローターの不具合
- ・ブレーキキャリパーの不具合
- ・ABSの不具合
- ・重い物を積んでいる
- ・タイヤの溝が減っている
中でも身近な原因は「ブレーキオイルの劣化」ですが、それ以外の問題が潜んでいることもあります。
以降では、それぞれの原因についての詳細を解説します。
ブレーキオイル(ブレーキフルード)の劣化
ブレーキオイルは、ブレーキペダルを踏んだ力をブレーキに伝えるための液体です。「ブレーキフルード」とも呼ばれます。
ブレーキオイルは消耗品であり、吸水性(空気中の水分を吸収する性質)があるため、劣化するとオイル内に水分が溜まりやすくなり、水分が溜まると沸点が下がります。
沸点が下がると「気泡」が生じやすくなり、ブレーキの効きが悪くなります。気泡は「べーパーロック現象」の原因ともなります(※詳細後述)。
ブレーキオイルの交換目安は、走行距離1万km、もしくは使用期間1年~1年半程です。オイルの色が黄色から茶色に変わり始めると交換が近いともいえます。
エアの混入
ブレーキオイル内にエア(空気)が混入すると、「気泡」が生じやすくなり、ブレーキの効きが悪くなります。
エアが混入する理由として、前述したブレーキオイルの劣化も挙げられますが、もう一つ、作業中(ブレーキオイルの交換作業、ブレーキの点検作業など)にエアが混入してしまうケースもあります。
とくに点検や修理でオーバーホール(部品の分解組み立てをする作業)を行うと、エアが混入することが多いです。
ブレーキパッドが減っている
ブレーキパッドとは、摩擦によりタイヤの回転を止める装置(摩擦材)です。
より正確にいえば、タイヤと共に回転しているブレーキローターを両側から挟むように押し付け、摩擦によりタイヤの回転を止めるのがブレーキパッドの役割です。
ブレーキパッドは消耗品であり、ブレーキを使う毎に摩擦でパッド表面が減っていきます。過度に減るとブレーキが効きにくくなります。
ブレーキパッドの交換目安は、パッドの残量が残り3mm以下になる、もしくは走行距離3万~5万kmが目安となります。
パットが減ると「ギィィー」という異音が生じやすくなるため、音にも注意を払いましょう。
ブレーキローター(ディスクローター)の不具合
ブレーキローターは、タイヤと共に回転している円盤型のパーツであり、「ディスクローター」とも呼ばれます。
前述したようにブレーキパッドをブレーキローターに挟みこむことでタイヤの回転を止めます。
ブレーキローターの表面がフラットではなく「波打ち」状態になっていると、ブレーキパッドが上手く挟みこめなくなるため、ブレーキの効きが悪くなることがあります。ブレーキを踏んで「ガタガタ」する場合、ブレーキローターが波打ちが疑われます。
ブレーキローターが波打ちする原因として、「ディスクローターが錆びている」「ブレーキパッドのインジケーター(金属部)が接触し長期間そのままになっていた」などが挙げられます。
とくに海沿いに住んでいる方は、愛車のディスクローターが錆びやすいため注意が必要です。
ブレーキキャリパーの不具合
ブレーキキャリパーとは、ブレーキパッドをブレーキローターに押し付ける役目を担うパーツです。
スポーツカーなどでは赤、黄、緑など派手な色のブレーキキャリパーも多く、ドレスアップパーツとしての役割もあります。
ブレーキキャリパー内の油圧ピストンに汚れや不具合があると、固着して動きが悪くなり、ブレーキが効きにくくなったり、酷いケースはブレーキを引きずった状態になることもあります。
ABSの不具合
ABSとは、アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lockBrakeSystem)の略称で、急ブレーキをかけた時などにタイヤがロック(回転が止まること)するのを防ぎ、ブレーキ時の安定性を向上させる装置です。
ABSに不具合が生じ上手く作動しない場合であっても、一般的に制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離)は変わらないとされています。
しかし例外として、新雪時や砂利道、タイヤチェーンを装着しているときなどは、停止距離が伸びることがあります。
また制動距離は変わらなくても、ロックすることにより体感的にブレーキが効きにくく感じることもあります。
なおABSに不具合が生じると、メーターパネル内の「ABS&ブレーキアシスト警告灯」が点灯することがあります。
重い物を積んでいる
ゴルフバックや交換用のタイヤなど、室内やトランクに重い荷物を載せているとブレーキが効きにくくなることがあります。
一般的に車両重量の重い車のほうが制動距離が伸び、ブレーキが効きにくくなります。また事故を起こした際の「衝撃力」も、車両重量が重いほど大きくなりやすいです。
もしも事故を起こした際の被害を減らすためにも、不要な荷物は車から降ろしておくのが賢明です。
タイヤの溝が減っている
タイヤも消耗品であり、走る毎に「溝」が減っていき、溝が過度に減るとブレーキが効きにくくなります。
一般的に残り溝が4mmを切ると制動距離が伸びはじめ、1.6mmを切ると使用限度に到達します。
保安基準では「タイヤのすべての溝の深さが1.6㎜以上有すること」と定められているため、1.6mm以下になると車検にも通らなくなります。
タイヤの溝が減りすぎていると、バースト(タイヤが破裂すること)を引き起こすこともありますので、溝が減っているタイヤは早めの交換が大切です。
ブレーキが効かなくなる現象
ブレーキの使い過ぎや周囲の環境などが原因となり、ブレーキが効かなくなる「現象」が起きることがあります。
ブレーキが効かなくなる現象として、次の3つがあります。
- ・フェード現象
- ・べーパーロック現象
- ・ハイドロプレーニング現象
以降では、ブレーキのしくみに触れつつ、この3つの現象について解説します。
ブレーキのしくみ
ブレーキには「油圧式ブレーキ」と「エアブレーキ」の大きく2タイプがありますが、乗用車で採用されているのは、通常は油圧式ブレーキです。エアブレーキは中型以上のトラックやバスなどで採用されています。
油圧式ブレーキでは、運転席のブレーキペダルを踏んだ力が、ブレーキオイルで満たされた配管を油圧として伝わっていき、ブレーキキャリパーのピストンを押します。
そしてピストンが、摩擦材であるブレーキパッドを押し込み、タイヤと共に回転しているブレーキローターを両側から挟みこむことで(ディスクブレーキの場合)、ブレーキが掛かり車速が落ちるしくみとなっています。
フェード現象
ブレーキを多用することにより、ブレーキローターとブレーキパッドの接触面が摩擦熱で高温になり、摩擦係数が低下し、本来の力を発揮できなくなる状態です。
一般的には「急な下り坂」「長い下り坂」など、ブレーキを多用する道路やブレーキに負荷が掛かりやすい道路でフェード現象が起きやすいです。
フェード現象を防ぐためには、下り坂ではフットブレーキ以外に「エンジンブレーキ」を使うようにします。
べーパーロック現象
フェード現象が起きた状態で、さらにブレーキを使い続けると、摩擦熱がブレーキパッドの先にあるブレーキキャリパーのピストン、ブレーキオイルまで伝わっていきます。
ブレーキオイルまで熱が伝導すると、熱によりオイルが沸騰し「気泡」が生じることがあります。気泡が生じるとブレーキの効きが悪くなることがあり、この一連の現象を「ベーパーロック現象」と呼びます。
冒頭で記載したように、エンジンオイルが劣化している場合はオイルの沸点が下がるため、よりベーパーロック現象が起きやすくなります。
ハイドロプレーニング現象
ハイドロプレーニング現象とは、濡れた路面を走行した際に、タイヤと路面との間に「水膜」ができることでタイヤが水の上を滑るような状態となり、ハンドルやブレーキのコントロールができなくなる現象を指します。「アクアプレーニング現象」と呼ばれることもあります。
ハイドロプレーニング現象は、高速道路など、速い速度で走行する場面で特に生じやすいです。
また、水の量にも影響しますので、「わだち」など水が溜まりやすい場所を走る際にも生じやすくなります。
ブレーキが効かない場合の対処方法
実際に愛車のブレーキが効かない(効きにくい)場合、普段通りに車を運転してしまうと、危険を伴う場合があります。
ここではブレーキが効かない場合にとるべき、以下4つの対処方法を解説します。
- ・停車しブレーキを冷ます
- ・エンジンブレーキを使う
- ・サイドブレーキを使う
- ・ガードレールや路肩に車体を当てる
停車しブレーキを冷ます
ブレーキオイルの沸騰は避けたいため、停車できる状況であれば、まずは安全な場所で車を停止し、ブレーキの熱を冷ますことが大切です。
注意点として、ブレーキに水を掛けて冷やすことは禁物です。
金属は急な温度変化に弱く、水などを使って一気に冷やすと変形してしまう恐れがありますので、水は使わず、自然な冷却を試みましょう。
エンジンブレーキを使う
エンジンブレーキとは、エンジンの回転を利用した減速方法です。エンジンにのみ働きかけるため、ブレーキパッドやブレーキオイルの加熱を促すことはありません。
下り坂などでブレーキに負担が掛かっている場合であれば、このエンジンブレーキを多用することで、減速の負荷を分散でき、ブレーキ側の熱の冷却を促せます。
エンジンブレーキはアクセルを離すだけでも掛かりますが、シフトダウンをすることでより強いエンジンブレーキを掛けることができます。
MT車であれば徐々にシフトダウン、AT車であればD3→D2→Lとシフトダウンをしていきます。
注意したいのはシフトを一気に飛ばして下げないことです。
一気にシフトを下げると、トランスミッション等を傷めやすく、また駆動輪がロックし車体が不安定になり、車体が滑りだす恐れもあります。
走行速度に合わせ段階的にシフトを下げ、無理なくエンジンブレーキをかけるようにしましょう。
サイドブレーキを使う
サイドブレーキ(パーキングブレーキ)は、停車時に後輪をロックさせ動かないようにするブレーキです。
通常は走行中には使わないブレーキですが、足元のフットブレーキが効かなくなった場合、サイドブレーキや前述したエンジンブレーキを併用して減速させるのが、一種の緊急回避方法です。
サイドブレーキは徐々に引き上げていくか、何回かに分けて引きます。足で踏むタイプの場合、徐々に深く踏み込んでいきます。
急に強い力でサイドブレーキを引くと、後輪がロックし滑りだすことがありますので、徐々に引き上げていくようにしましょう。
また、サイドブレーキはフットブレーキよりも制動力が少ないため、それを念頭に置いてブレーキタイミングを調整する必要もあります。
ガードレールや路肩に車体を当てる
こちらは、緊急性が高い場合での最終手段です。
エンジンブレーキやパーキングブレーキでは間に合わない場合は、道路脇のガードレールや路肩などに車体を当てていき、こすりつけるように速度を落とします。
車体は傷ついてしまいますが、もしもの場合は、ドライバーや同乗者、周囲への安全を優先させましょう。
【ブレーキトラブル予防方法】日常的に気を付けること
ブレーキトラブルを避けるためには、点検やメンテナンスが欠かせません。ここでは日常的に行うべきブレーキトラブルの予防方法を紹介します。
踏んだ感触をチェック
駐車場など安全な場所に停止し、エンジンを掛けシフトをパーキングにいれた状態で、ブレーキを思い切り踏み込みます。
「踏みごたえ」や「感触」がいつもと違っていないか確認してみてください。
もし、ブレーキオイルにエアが混入していたり、オイルが漏れている場合、以下のような症状が出ることがあります。
- ・踏みごたえが軽く柔らかい
- ・強く踏んでも固くならない
- ・いつもより奥まで踏める
ブレーキオイルのチェック
ボンネットを開け、ブレーキオイルの入っている「リザーバータンク」を確認します。
リザーバータンクの側面には上限(MAX)、下限(MIN)の目安線があり、「液面」が上限と下限の間にあれば正常です。
一方で、液面が下限に近い位置にある、もしくは下限より下にある場合、ブレーキオイルが減っていることを意味しますので、オイル漏れを確認の上、オイルを補充する必要があります。
併せてブレーキオイルの「色」もチェックします。オイルの色は黄色が正常な状態であり、茶色や黒っぽくなった場合は劣化しており、交換が近いことを意味します。
警告灯をチェック
ブレーキ周辺に異常が発生すると、メーターパネル内の「警告灯」が点灯することがあります。
警告灯 | 意味 |
ブレーキ警告灯(黄色) | 電子制御のブレーキシステム、または電動パーキングブレーキシステム等に何らかの異常が発生していることを示す。 |
ブレーキ警告灯(赤) | 上記、「ブレーキ警告灯(黄色)」より深刻な状態。 ブレーキオイルの不足や、ブレーキ系統に異常が発生している際に点灯する。 ※サイドブレーキが作動している場合も点灯する。もしサイドブレーキを解除し消えるのであれば基本的に問題なし。 |
ABS&ブレーキアシスト警告灯 | ABSをはじめとしたブレーキアシスト機能に異常がある場合に点灯する。 |
こうした警告灯が消えない場合は、ブレーキ周りに解消できない異常が生じている可能性が高いため、そのまま走行し続けると危険を伴います。プロの業者に点検をしてもらいましょう。
足元をチェック
ドライブを始める前に、運転席の足元にゴミや異物がないかチェックしましょう。
ペットボトルや紙袋などが落ちていると、走行中の振動などでブレーキペダルの裏に入り込み、ブレーキペダルが踏めなくなることがあります。
こうした足元のゴミが原因となる重大事故も毎年一定数発生しています。
ブレーキのトラブルはカーテンダーに!
『カーテンダー』は、損害車買取実績ナンバーワンの株式会社タウが手掛ける修理買取サービスです。
長年損害車を専門に扱ってきたノウハウを基に、最適な修理方法を提案し、熟練のスタッフの手による確実な修理を行わせていただきます。
今回紹介したようなブレーキが効かない車についても、原因の特定、点検、修理などを承っております。
またカーテンダーでは、修理だけでなく「損害車の買取サービス」も行っています。
故障によりブレーキがまったく効かない車、もしくはブレーキが効かずに事故を起こしてしまい車体が大きく破損した車両であっても、処分ではなく「買取」が可能です。
カーテンダーでは損害車を再利用できる体制をもっているため、こうしたお客様側にとっても割のよいサービスが提供できています。
まとめ
このようにブレーキが効かない場合、さまざまな原因が考えられます。
単にブレーキオイルが劣化しただけであれば軽傷であり交換すれば解決しますが、ブレーキローターやブレーキキャリパーが破損していたり、ABSなどのブレーキシステムに異常があると状況は深刻です。
いずれにしても、原因が判明し、解決するまでは、走行は控えるべきでしょう。
また、ブレーキ周りの故障は、素人でははっきりと原因の特定できないこともあるため、解決の糸口が見えない場合には、早めにプロの業者に点検や修理を依頼することも大切です。
私たち『カーテンダー』では、ブレーキトラブルに関するご相談も承っております。
簡単なお悩みから費用に関してのお悩みまで幅広く受け付けておりますので、不安点や疑問点などがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
カーテンダーでは創業25年以上の経験を活かして、お客様に最適な修理を提案いたします。
電話・フォームからお気軽にお問い合わせください。
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