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ブレーキから「キー」と異音がしたらどうするべき?異音別の症状を解説

ブレーキから「キー」と異音がしたらどうするべき?異音別の症状を解説

ブレーキは車を減速させるための要部品であるため、異音に対して神経質になるのは無理もありません。よく耳にするのは「キー」という異音です。しかし同じ「キー」という音でも、音量や音質によって発生原因や発生箇所が異なることはご存知でしょうか。なかには修理の必要がない異音もあります。

今回は、ブレーキから出る異音ごとの原因と修理費用について解説します。ブレーキから異音がしたら即刻点検を受けるのが鉄則ですが、本記事を読むことで発生した異音が危険なものかどうかを判断できるようになります。

ブレーキが「キーキー」鳴るおもな原因は4つ

現在の車に搭載されるブレーキシステムは大きく2種類に分類されます。

  • ・ディスクブレーキ:タイヤと同期回転する円盤(ローター)を摩擦材(パッド)で挟み込んで止める方式。おもに前輪に用いられる。
  • ・ドラムブレーキ:回転する円筒形のドラムを内側から摩擦材(ブレーキシュー)を押し付けて止める方式。おもに後輪に用いられる。

ディスクブレーキとドラムブレーキは構造の違いから、異音の出やすさにも違いがあります。ブレーキから異音が出やすいのはディスクブレーキの方であり、「キー」という音が発生する原因はおもに以下の4つが考えられます。

  • ・ブレーキパットの残量不足
  • ・異音が出やすいブレーキパッド
  • ・異音が出やすい環境
  • ・ブレーキの状態

それぞれの場合で起こる「キー」という異音の特徴を解説していきます。

純正ブレーキパッドは残量不足を知らせるために音が鳴る

「キー」という異音が鳴る原因のうち、もっとも注意したいのはブレーキパッドの残量不足です。純正品をはじめとするブレーキパッドには、パッド残量が使用限界付近になると、ブレーキパッドの交換を促すために「キー」と警告音を鳴らす構造の「機械式パッドウェアインジケーター」が組み込まれています。

パッドウェアインジケーター作動時は、パッドに仕込まれた金属片がブレーキローターと接触し、けたたましい音を発するため、明らかに異常であることがわかるでしょう。ローターに金属片が軽く触れる場合は「シャリシャリ」「チャリチャリ」「キュルキュル」とも鳴ることがあり、パッド残量が危険域に達した場合は「ゴー」「ゴゴゴ」といった異音が鳴る場合もあります。

新品のブレーキパッドは10mm前後です。それが2〜3mm程度まで摩耗するとパッドウェアインジケーターが異音を発します。パッドウェアインジケーターが作動したらブレーキの効きに問題がなかったとしても、速やかなブレーキパッドの交換が必要です。

輸入車や高級車など一部の車種は、メーターにブレーキパッド交換を促す警告灯を表示させる電子式パッドウェアインジケーターが装着されています。

輸入車やスポーツカーのブレーキは鳴きやすい

ブレーキパッドの材質によっては異音の出やすさも異なります。ブレーキパッドやブレーキシューは金属と樹脂の混合物が摩擦材として用いられ、金属系の部材が多く用いられたブレーキパッドが標準装着される輸入車やスポーツカー、スポーツ走行向けの交換用ブレーキパッドは、強力な制動力と引き換えに作動時に「キー」という異音が出がちです。

これらブレーキパッドの材質による異音は異常ではないため、制動力に問題がなければそのまま使用して問題ありません。

雨天時や低温時はブレーキが鳴きやすい

冷えた状態のブレーキは異音が出やすく、とくに冬季や雨天時、早朝などの気温が低い環境ではブレーキペダルの踏み始めで「キー」と異音が鳴りやすくなります。

これはブレーキパッドが吸着した水分や、ブレーキシステムを構成する金属の性質による異音であり異常ではありません。走行してブレーキ温度が上がると異音が出なくなるようなら放置しても問題ありません。

劣化したブレーキパッドや新品パッドは異音がすることも

ブレーキパッドの状態によっても異音が出る場合があります。ブレーキパッドは経年劣化により樹脂材が硬化し、柔軟性が失われるとブレーキの効きが衰えるとともに異音も発生しやすくなります。ブレーキパッドは摩耗しておらずとも4~5年ごとの交換が理想です。

また、新品状態のブレーキパッドも異音が発生しやすくなります。新品はパッドの縁の角部がディスクをひっかくようにあたって振動し、「キー」と異音が鳴りがちです。新品ブレーキパッドは、取り付け時に縁の角をヤスリなどで削ってやることで異音の発生を防止できます。

どちらの場合の異音も、ブレーキの効きに問題がなければ緊急度は低い事例といえます。

【異音別】「キー」以外の異音の原因は?

ブレーキが発する異音は「キー」だけではありません。状態によってさまざまな異音を発し、それぞれで発生原因が異なります。ただし実際の異音は、車両個々の状態や個々人の聞こえ方によっても異なるため、紹介する異音の擬音表現はあくまで一例です。ブレーキが発する「キー」以外の異音の原因を解説していきます。

「ゴー」と鳴るのは錆が原因

ブレーキ作動時に「コー」や「ゴー」と鳴るのは、ブレーキディスクの錆が原因である可能性が高いといえます。ブレーキローターは非常に錆びやすい材質でつくられており、雨天走行後などは数日放置しただけで錆が発生します。錆が軽度の場合はブレーキパッドとの摩擦ですぐに削れてしまうためブレーキの効きに影響はありませんが、その際に「コー」という異音が発生しがちです。

長年放置された車は、ローターの錆が進行して表面がザラザラになり、パッドとの摩擦で「ゴー」といった大きな異音が鳴りやすくなります。この状態は、ヤスリのようにブレーキパッドを削ってしまい、パッドの摩耗が早まります。

表面に浮いた程度の軽い錆なら放置して問題ありません。しかし、錆付いてしまったブレーキローターは速やかな交換が必要です。

石が噛み込むと「ゴゴゴ」「ギャー」と鳴る

ブレーキディスクのローターの裏側には、遮熱(しゃねつ)や防塵(ぼうじん)を目的とした「バックプレート」と呼ばれる保護板が取り付けられており、バックプレートとブレーキディスクの間に小石などが挟まるとブレーキペダルを踏まずとも異音が発生するようになります。

異音の音色は「キー」「カラカラ」「ゴゴゴ」「ギャー」など、石の形状や大きさに応じてさまざまであり、異音を解消するためには原因である小石の除去が必要です。後退すると挟まった小石が外れてしまう場合もあり、いつの間にか異音がしなくなるのも石による異音の特徴といえるでしょう。

砂利道などを走行した後に異音がするようになったのなら、原因は小石による影響が疑われます。石のほか、バックプレートが変形してローターに接触した場合も似たような異音が鳴る場合があります。どうしても異音が消えない場合は、バックプレート周りを分解点検してもらいましょう。

「シャリシャリ」「カタカタ」はブレーキディスクの異常

ブレーキ作動時に、ペダルへの振動をともなって「シャリシャリ」「カタカタ」と断続的な異音が鳴る場合はブレーキローターの歪みやクラック(ヒビ)が発生している恐れがあります。

ローターの歪みやクラックは、ブレーキの急加熱と急冷却が繰り返されるときの温度差によって発生しやすく、ブレーキに大きな負担をかけるサーキット走行を繰り返すことで発生しがちです。

一般的道の走行でも、ブレーキ内部の部品であるピストンやスライドピンなどが固着し、パッドがローターを挟み込む動きが悪くなることによって、ローターの表面と裏面にできた温度差が歪みやクラックを誘発させる場合があります。

ローターの歪みはブレーキの効きを悪化させるため、早急な交換もしくはローターの摩擦面を削って表面を均等にする研磨作業が必要です。クラックの方は表面の細かなヒビ割れなら走行にほぼ影響はありませんが、深くヒビが入ったローターは走行中に割れてしまう危険があるため交換するしかありません。

「シュー 」はブレーキブースターの空気漏れ

ブレーキ作動中に「シュー」と空気が漏れるような音が鳴る場合はブレーキブースターの異常が疑われます。ブレーキブースターとは、エンジンの負圧を利用してブレーキの踏力を増幅させる装置であり「真空倍力装置」や「マスターバック」とも呼ばれます。

装置や配管などから空気が漏れ出すと負圧が維持できなくなり、同じ力で踏んでもブレーキの効きが悪く感じられます。「シュー」という異音を解消するためにはブレーキブースターの配管や本体の交換が必要になります。

ブレーキペダルの「キコキコ」は自分で簡単に直せる 

ブレーキペダルを踏んだ際に、ペダルから「キコキコ」「キィキィ」と異音がするのは、ペダルの支点部分の単純なグリス切れである場合がほとんどです。異音の発生箇所に注油しても消えなければ整備工場に修理を依頼しましょう。

「キュッキュッ」と鳴る原因はブレーキ以外にも

ディスクブレーキと構造が大きく異なるドラムブレーキは、動作時に「キー」と響く音ではなく「キュッキュッ」という異音が鳴りやすい点が特徴です。ただし、ホイールを回転しながら保持する「ハブベアリング」や、走行中は常に上下動している「サスペンション」からも似たような異音を発する場合があります。

ブレーキ使用時の荷重変化や姿勢変化のタイミングで、ハブベアリングやサスペンションから同時に音が出る場合もあるため、「キュッキュッ」という異音は原因箇所の特定が難しい異音のひとつといえます。

速度を問わずブレーキ使用時に鳴るのであればブレーキからの異音が確定的です。その他の状況でも鳴る場合はブレーキ以外の異音である可能性が高いといえるでしょう。

異音がするブレーキの修理費用は1万円前後

以下の表は、異音ごとの異常箇所と修理費用を一覧にまとめたものです。

異音異常修理方法・費用(1輪あたり)
「キー」ブレーキパッドの摩耗等パッド(シュー)交換1万〜1万5,000円
分解清掃・グリスアップ・調整5,000〜1万円
「キュッキュッ」ドラムブレーキシュー摩耗等
「ゴゴゴ」「ギャー」バックプレートの石噛み
「ゴー」ブレーキローターの錆ブレーキローター交換1万〜2万円
ブレーキローター研磨1万〜1万5,000円
「シャラシャラ」「カタカタ」ブレーキローターの歪み・クラック
「シュー」ブレーキブースター周りの空気漏れブレーキブースターホース交換8,000円前後
ブレーキブースター本体交換1万5,000〜6万円

それぞれの異音は、異常箇所に応じた部品交換や取付調整などで解消できます。

摩耗限界に達したブレーキパッドやブレーキシューは交換。軽度な「キー」という異音は、多くの場合にパッドやシューの組み直しやパッドの面取り、パッドの裏面に共振止めグリス塗布などで直る場合があります。

歪みや錆が生じたブレーキディスクは交換せず、専用装置を用いた研磨で表面を整えて使い続けることも可能です。ただし、研磨や摩耗によって規定の厚さが確保できないローターは、寸法確保やクラックが入りやすくなるなどの理由から交換するしかありません。

DIYでブレーキの異音は修理はできる?

ブレーキペダルのグリス切れで起こる「キコキコ」といった音は、分解の必要がないため自分で簡単に修理できます。しかし、ブレーキパッドやローターなどの重要箇所の分解整備は信頼できる業者に依頼するのが無難です。

道路運送車両法で「特定整備」に定められるブレーキやエンジンなどの走行に関わる部分の分解整備は、国から認証を受けた工場でなければ作業できない決まりになっています。

使用者本人が自分の車を整備をするのであれば違法にはあたりませんが、ブレーキ周りは些細な作業ミスが安全に大きく関わるため、ブレーキに関する正しい知識と技術を有している場合でない限りDIYでの分解整備はおすすめできません。

分解を伴わない点検であればDIYで実施できます。ブレーキローターのやパッドの摩耗具合や状態確認などを定期的な点検によって把握することは、異音の発生防止のほか安全確保にも有効です。

まとめ

ブレーキから発せられるたくさんの異音のうち、緊急の修理が必要な異常は以下の3つです。

  • ・摩耗限界に達したブレーキパッド
  • ・ブレーキローターのクラック
  • ・ブレーキブースター周りの空気漏れ

これら以外の異常なら、ブレーキの効きさえ十分であれば走行しても問題はないでしょう。

ただし、街乗りなどの低速走行時は問題がなくとも、高速走行時はブレーキの異常によって思わぬ制動力不足による追突や、減速挙動の乱れによるスピンなどのトラブルに発展する可能性があります。また、ブレーキシステムが満足に動作していない場合は、どれほど優れた自動ブレーキを搭載していても役に立ちません。

いずれの異音の場合でも、ブレーキから異音が発生したら早めにプロの点検整備を受けることをおすすめします。

修理依頼にあたっては、どのような異音がどのブレーキから鳴るか、どのような条件で異音が鳴るかなどをメモしておきましょう。異常を正確に伝えるほど担当する整備士は修理しやすくなります。

カーテンダーでは創業25年以上の経験を活かして、お客様に最適な修理を提案いたします。
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