歪んだ車のフレーム修理にかかる費用と期間は?乗り換えた方がいい理由とは
車のフレームとは、人間で言えば骨に相当する重要な部位であり、修理費用も高額です。
さらに損傷状態に応じて修理費用は大きく変動するため、実際にどれくらいの修理費用が請求されるか不透明な部分がもっとも大きな不安要素といえるでしょう。歪みの程度によっては、車の乗り換えを迫られるほどの高額修理になる場合もあります。
今回はフレームの歪みや凹み、錆などの修理費用の目安とともに、修理費用を抑えられる業者の選び方やフレームの歪みがもたらす車への影響などについて紹介します。
本記事を読んで、フレーム修理の費用相場や費用を抑える方法などを知っておけば、いざフレーム修理が必要になった際にも、修理して乗り続けるか、それとも乗り換えるべきかの判断がしやすくなります。
もくじ
フレームの歪み具合に応じて費用や修理期間は変わる
歪んだフレームの修理は、油圧機械などを使って大きな力を加えたり、損傷箇所を一度切断して溶接し直すなどして元の形状に修復されます。一般的な乗用車のフレーム構造は以下の2種類に分けられ、それぞれで歪みやすさなどが異なります。
モノコックフレーム:一般的な乗用車に用いられるフレーム構造。薄い鋼板を立体的に組み合わせて強度を高めているため、衝突事故等を起こすと外傷はそれほどでなくとも、車の広範囲に影響がおよぶ場合があります。
ラダーフレーム:軽トラを含むトラックや、SUVのなかでもオフロード走行に特化したSUVなどで用いられる頑丈で歪みにくいフレーム構造。ボディと独立したラダー(ハシゴ)状のフレームに足回りなどが取り付けられるため、ボディが潰れてもラダーフレームが無事であれば走行に影響は出ません。
フレーム修理にかかる費用や修理期間は、車種や上記のフレーム構造などによって変動しますが、費用にもっとも大きく影響するのは歪み具合と修理範囲です。
フレームの歪み具合と修理費用、修理期間をまとめると以下のようになります。
フレームの歪み具合 | 修理費用 | 修理期間 |
軽度の歪み、もしくは1箇所以下 | 〜10万円 | 1日〜2日 |
中度の歪み、もしくは2箇所以上 | 10万円〜数十万円 | 約1週間 |
車全体におよぶ歪み | 数十万円〜100万円超 | 1週間〜1ヵ月以上 |
軽度の歪みなら1週間・10万円から修理可能
歪み具合が軽度の場合の修理費用は1箇所あたり10万円程度、作業期間は1日〜2日程度です。
しかし原形を留めないほど潰れてしまった箇所のフレームは、切断や溶接による交換が必要になり工数が増えたぶん費用も高くなります。もちろん、複数箇所の修理が必要な場合は修理費用も跳ね上がり、修理期間も長くなります。
具体的な修理費用は依頼する業者によっても大きく変わるため、一概に提示することはできません。以上のような複数ヶ所の修理や中規模のフレーム修理になると10万円〜数十万円の修理費用がかかり、おおむね1週間程度の修理期間を要します。
重度の場合は1ヵ月・100万円以上かかる場合も
車の広範囲に渡って歪んでいる場合は「フレーム修正機」を用いて修理されます。
フレーム修正機とは、車体の歪みをミリ単位で計測しながら車全体のフレーム矯正ができる装置であり、非常に大型で高額な装置であるため設置できる環境が限られるものの、より正確に歪みを修理することが可能です。
その代わりフレーム修正機の扱いには高い技能が必要となるうえ、工数も相応にかかるため修理費用は数十万円から100万円以上、作業期間は1ヵ月程度が見込まれます。
そのほかの修理方法としてフレーム交換という方法もあります。モノコックフレームすべてを交換するのは現実的ではありませんが、ラダーフレームなら交換も不可能ではありません。
ラダーフレームの本体価格は数十万円であり、ボディを始めとする一式載せ替えでさらに数十万円の費用がかかりますが、おおむね50万円前後の費用で新品のラダーフレームに交換できます。
フレームが歪むと車はどうなる?
フレームが歪むと、車の操縦性や安定性に影響がおよぶ場合があります。フレームの状態は車検の検査項目でもあり、走行に支障があるほどに歪んだ状態では車検に通りません。
フレームが歪むことによって発生する代表的な症状は以下のようなものが挙げられます。
- ・ハンドルがブレる
- ・ハンドルをまっすぐにしていても車が曲がっていく
- ・直線を走行していても明らかにハンドルが切れている
- ・特定のタイヤだけが摩耗する
- ・段差を乗り越えた際に異音がする
- ・ドアが開かない・閉まりが悪い
車のフレームは総じて頑丈であるため、衝突事故に際して必ずしも歪むわけではありません。その一方で、衝突時にフレームが潰れることで衝撃を吸収する機能も持たされているため、縁石に乗り上げたり脱輪などで車体底部をぶつけたことで簡単に曲がってしまうケースもあります。
軽微なフレームの歪みを目視で判断するのは不可能なうえ、フレーム以外の原因で上記の症状が出ることもあるため、正確な歪み具合はプロに判断してもらうのが賢明です。
フレームの錆や凹みの修理費用は?
錆や凹みもフレームの強度を落とす原因になります。軽度の錆なら強度に影響はありませんが、放置して穴が空いてしまった状態では車検に通りません。
軽度の凹みも走行にはほとんど影響はないものの、傷を伴う凹みの場合は錆を誘発するため確実に修理しておきましょう。各部の修理にかかる費用は以下の表を参考にしてください。
修理箇所/項目 | 修理費用 |
錆修理 | 5.000円〜3万円 |
錆穴修理 | 1万〜5万円 |
ピラー凹み修理 | 5万円〜 |
ピラー交換(切断・溶接) | 10万円〜 |
サイドシル凹み修理 | 4万円〜 |
サイドシル交換(切断・溶接) | 7万円〜 |
メンバー・コアサポート等交換 | 4万円〜 |
フレームの一部である車の柱(ピラー)部分や、柱の基部となるサイドシル(ロッカーパネル)周辺は露出しているため凹みや傷が付きやすく、錆も発生しやすい要注意箇所です。修理業者のなかでも、傷を伴わない凹み修理ならデントリペア業者への修理依頼をおすすめします。
デントリペアとはボディの隙間から細いツールを差し入れ、凹みを戻す板金手法であり、傷の修理はできませんが、塗装の必要がない小さな凹みに限定すれば上記表の半額程度で修理できます。
また、フレームのなかでも「サイドメンバー」「コアサポート」とよばれる部位はボルトで締結されている車も多いため、曲がりや錆の修理に際して交換される場合もあります。
車のフレームは原則DIYでの修理不可!
DIYでのフレーム修理は不可能といってもよいでしょう。フレームを修理するには、油圧機械などで非常に大きな力をかける必要があるため、DIYでの作業には大きな危険が伴います。
加えて、車のフレームは曲がった部分を戻しただけで元の状態に戻るほど単純なものでもありません。軽微な損傷であっても、車のフレームに関する部位の作業は専門業者に任せるのが鉄則です。
フレーム修理はどこに依頼先すべき?
フレーム修理を依頼するべき業者は、予算や修理品質に応じてディーラーもしくは板金塗装工場の2択から選びましょう。
- ・費用がかかってでもキレイに仕上げたいならディーラー
- ・修理費用を抑えたいなら板金塗装工場
カー用品店やガソリンスタンドで受け付けている場合もありますが、多くの店舗は、提携する板金塗装工場などへの外部発注となるため事実上、修理窓口の役割でしかありません。
またフレームが歪んでしまうほどの事故では、外装や駆動部も大きく破損しているケースも多く、すべてまとめて修理できる業者への依頼をおすすめします。
仕上がり優先ならディーラーがおすすめ
高額な費用がかかってでも高い修理品質を求めるならディーラーに依頼すべきです。ディーラーでは修理品質に基準を設けており、全国にあるどの店舗に修理を依頼しても一定の品質が保たれる特徴があります。
大掛かりなフレーム修理に関してはディーラーで作業をせず、提携する板金塗装工場への外注となりますが、ディーラーからの仕事を請け負っている工場は技術力も高い傾向にあります。
ただしディーラーが関わる修理は工賃単価が高いうえ、可能な限り部品交換で修理されるため修理費用総額も高くなりがちです。
値段を抑えたいなら板金塗装工場へ
修理費用を抑えたいのなら、安価な費用で柔軟な修理に対応してくれる板金塗装工場へ依頼しましょう。
走行に支障がない部分や目立たない箇所は、修理品質を落として費用を安く抑えつつ、重要な箇所はディーラー以上にしっかりと仕上げてもらうことも可能です。
ただし、修理品質や費用には工場ごとに大きな差があるため、理想的な工場をみつけるのは困難といわざるをえません。しかし、大掛かりなフレーム修理の依頼に関しては、フレーム修正機の有無が工場選びの指標となります。
小さな工場はフレーム修正機を保有している工場へ外注に出すケースが多いため、はじめからフレーム修正機の使用を得意とする比較的大きな板金塗装工場に修理を依頼すれば品質と費用の高バランス化が図れます。
修理依頼前に必ず見積もりを取ろう
業者にフレーム修理を依頼する際には手間や手数料をかけてでも、必ず事前に見積もりを出してもらうようにしてください。車を動かせない場合であっても、電話での口頭説明や画像添付メールなどを活用して修理費用の見積もりを出してもらいましょう。
フレーム修理で高額な費用がかかる場合は、修理をせずに乗り換えた方がよい場合も多く、概算であっても見積もりで事前に修理費用を確認できれば、乗り換えの判断がしやすくなります。
修理費用を抑えたい場合は複数業者から見積もり額を算出してもらい、修理費用を比較して依頼先を決めましょう。板金修理のほとんどは技術料であり、工場によって大きな差があるため、選ぶ工場次第では修理費用を大きく抑えることもできます。
【注意】フレーム修理をすると中古車査定額が大きく下がる
フレーム修理をすると事故車扱いとなり、中古車買取査定額が大幅に下落することも頭に入れておかなくてはなりません。
フレームは車の走行において非常に重要な箇所であるため、売却査定時にはフレームの状態が厳格にチェックされます。フレーム修理によって事故歴(修復歴)が付くと、車の商品価値が下がるため買取査定額は20万〜30万円程度下がり、場合によっては50万円以上安くなる場合もあります。
どれだけ腕のよい板金工が修理したとしても、フレームが完全に元通りになることはなく、損傷の跡も完全に消せるものではありません。フレーム修理をするには高額な修理費用の支払いだけでなく、車を手放す際に生じるデメリットも受け入れる必要があります。
修理費用が高額な場合は乗り換え推奨
前述したように、高額なフレーム修理費用がかかる場合は、車の乗り換えという選択もあります。あらかじめ修理業者と買取業者の両方から見積もりを取っておけば、修理費用と売却価格を比較させ、修理と乗り換えのどちらを選ぶべきか判断しやすくなるでしょう。
しかし、大がかりなフレーム修理が必要になった場合は、修理ではなく乗り換えをおすすめします。
大規模なフレーム修理をした車は手放す際の買取査定額が大幅に下がるうえ、どれだけ丁寧に修理されたとしても安全上のリスクがつきまとい、溶接箇所からはどうしても錆が発生しやすくなるため、車そのものの寿命も短くなります。
廃車買取業者や事故車専門の買取業者なら、車として売り物にならないような車でも部品取り車として活用できるため、一般的な中古車査定とは別の基準で状態を精査し、値段を付けて買い取ってくれます。業者によっては廃車手数料や車の引き取りまで無料で行ってくれます。
フレーム修正のリスクを考慮したうえで、車両年式と走行距離に応じて売却価格と修理費用を天秤にかけ、車を修理するか、乗り換えるかベストな判断を下しましょう。
事故修理も故障車買取もカーテンダーへ
フレームは車の骨格部分でとても重要な部分です。
損傷が大きい場合や複数箇所が損傷していれば、修理費用も高くなるでしょう。
フレームの損傷費用は以下の通りです。
損傷の度合い |
費用 | 日数 |
軽度 |
~10万円 | 1~2日 |
中度 |
10万円~数十万円 | 1週間程度 |
車全体に及ぶ歪み |
数十万円~100万円 | 1週間から1カ月程度 |
フレームは一度修理をすると、修復歴がついてしまいます。また、修理した箇所は再び損傷する可能性もあります。
車の状態に応じて、修理か売却どちらにするか検討しましょう。
当サイト【カーテンダー】は事故車買取実績No.1の株式会社タウが母体となっています。
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